「Helplessな(遣る瀬無い)思いを抱いていたのは、誰であったか…」Helpless Rosalindさんの映画レビュー(感想・評価)
Helplessな(遣る瀬無い)思いを抱いていたのは、誰であったか…
「おやじ」をめぐる映画である。荒唐無稽なストーリーなのかもしれない。「おやじ」の素性は映画の中で一切明らかにされない。しかしながら散りばめられたイメージ・記号をひとつひとつ拾い上げていくと、隠喩としての「おやじ」がぼんやりと浮かび上がってくる。
「おやじ」が死んだ。尊崇を一身に集めたカリスマである「おやじ」が死んでしまった。そのことについて、遣る瀬無い(helplessな)思いを抱いていたのは一体誰であったか。そのhelplessな多くの魂が、今も鎮魂されずに辺りを彷徨っているのかもしれない。あてもなく徘徊・彷徨する登場人物は、帰る場所のない魂のメタファーでもある。行き場のない、浮かばれない無数の魂の愛憎、栄辱、功罪が(昭和史の矛盾が)主人公の中で爆発する…
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