蛇の道(1998)のレビュー・感想・評価
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誰が少女を殺したか?誰が娘を手にかけた?
「蛇の道」柴咲コウさん主演のリメイクは自分には合いませんでした。
オリジナルは哀川翔さんということを知り、俄然興味がわいての鑑賞です。
【ネタバレ】
内容は、ほぼ同じでしたね。ただ、リメイク作の方が、少女殺害の理由が臓器売買ということで明確になってたかな。
大方の人が、リメイク作を推しているようですが、自分にはオリジナルの方がしっくり来ました。
内容、展開がやっぱりVシネっぽいんですよね。
哀川翔さんは、塾講師を演じていても極道感が抜けません。なんか、裏社会の人のように見えてしまう。そういう面では、リメイクの柴咲さんの方が、普通の人っぽくて、その行動の過激さに恐怖を感じられました。
香川さんがメチャクチャ若い。どっちつかずの危うい感じがピッタリでしたね。ただ、塾に通っている少女を見つめる目に鳥肌起ちました。あのあと、あの子は登場してなかったけど大丈夫だったんだろうか?
結局、香川さんが少女虐待ビデオの売人みたいだったけど、それ以上に購入者でもあったんじゃないかな。自分の子供の映像にしたって、嫌がりながら指の間で見つめていたような・・・
自分が与えてきた精神的な拷問を、これから自分が体験していくっていう恐怖がラストシーンにあったと思うんですが、どうでしょう?
こういう異常なところが、ホラー好きの自分に響いたのかもしれない。臓器売買の組織の方が、社会的には大きな問題なんだけどね。
最後に、どちらの作品も最後は銃撃戦だったんだけど、そこまで一緒にする必要あったのかな?
セルフリメイクされた『蛇の道』の1998年オリジナル。
黒沢清監督がこの映画をフランスで撮影したセルフリメイクが
公開されると聞いて、それを観る前にオリジナルを鑑賞しました。
主人公の香川照之が8歳の娘を惨殺されて、その復讐のために
犯人らしき疑われる男を拉致して監禁する。
そしてその拷問シーンがエグいのです。
そして協力者の男・新島(哀川翔)がいます。
素人ぽい香川照之に較べて、哀川翔はプロっぽくて、リーダー感がある。
哀川翔は塾講師の顔を持ち、子供への当たりは柔らかい。
謎の男ですね。
そんな2人が体育館みたいに廃屋に第一容疑者をまず監禁。
手口はいきなりスタンガンで意識を失わせて、寝袋に押し込み
車のトランクに入れて廃屋に運んで来る。
第一容疑者はそれでも、自分が何故、こんな目に遭うのか半信半疑。
それもそのはず、香川と哀川の2人にも、娘殺害の犯人は
はっきりとは分かっていないのです。
香川照之がTVをキャスター付き台に乗せて運び、
ビデオ映像をみせます。
娘の元気な日の幸せな日々の映像。
それを見せながら読み上げる死体検案書の文章。
香川は死体検案書を何度も何度も読み聞かせる。
セルフリメイクでは表現がマイルドになっていましたし、
オリジナルにはなかった臓器売買や、生きたまま臓器を取り出す映像を
売っていた・・・などの変更があります。
死体検案書の内容は、オリジナルでは2024年のコンプライアンス的に
OUTですし、変えたようです。
リメイクでは事件の発案は柴咲コウが心療内科医で、患者として
アルベールと知り合い、娘を殺された悩みを聞くうちに同情から
協力者になる・・・と言う構図です。
それにしては柴咲コウの助っ人ぶりがサイコで極道並み‼️
リメイクの方が連続・少女誘拐殺害事件の復讐と全容解明、
この二つがキチンと答えが出ています。
オリジナルでは哀川翔の恨みの理由が判然としません。
フランスで撮影した良さやフランス人俳優そしてフランス語を
流暢に話す柴咲コウが、景色にも溶け込んでいて、実に綺麗です。
人間を寝袋に入れて運ぶシーン。
ずるずるとアルベールと2人で森の中の坂道を引き摺っていく。
この人間が本当に入っている重さが見えるのですね。
引きずる方も引きずられる方もなかなかの苦行です。
オリジナル作品はVシネマとして撮られたらしく、
当時のVシネマの帝王・哀川翔が主演を演じているのでしょう。
一方の香川照之はひょろっと痩せて青白い顔の、大人しげな男。
その後のカメレオン俳優の片鱗はどこにもありません。
ラストのバイオレンスも見応えあり、
地獄の果てで崖っぷちの男たち。
これはこれで面白い映画でした。
彼は神の視点の存在か
映像はVシネマの質感。一見したところはいわゆる裏社会ものだが、被害者であり加害者でもあるような人物が出てきたり、謎めいたループ構造があったりする複雑さが意外で興味をそそられる。ただ作りは荒削りなので、謎が謎なまま消化不良で終わる感じはある。
塾講師の男(哀川翔)も過去に娘を殺されていたということに気づけば物語は理解しやすい。私は最初、彼は加害者側ではないかと構えていたので話の展開が理解できなかったが、彼は神の視点の存在で悪を成敗しているのだと考えて謎が解けた気がした。数学を解く少女もまたそちら側の存在であり、彼らは言うなれば「マトリックス」のオラクルやアーキテクトなのだと思う。
あるいは少女は過去に殺された人間の一人、もっと言えば数学塾に来ている人はみな殺されて彷徨える霊であって、塾講師の男が彼らの霊を慰めているという解釈もできるかもしれない。
セルフリメイク版が楽しみだ。
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