「日本が勝ち進んでいるのは天皇陛下のおかげ」兵隊やくざ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本が勝ち進んでいるのは天皇陛下のおかげ
戦争映画といっても実際に敵国と戦うシーンは全くない。満州の兵舎において上下関係の厳しい兵士の実態を描いたもの。その点では山本薩夫監督の『真空地帯』と似ているかもしれない。新しいところでは新藤兼人監督作『陸に上がった軍艦』なんかもそうだ。「日本が勝ち進んでいるのは天皇陛下のおかげ」とか、何かにつけて天皇陛下を賛美する声もあるが、どこか虚しく響く。
上等兵の田村高廣のキャラもなかなかいい。大卒で試験さえ受ければ将校の道が開けるのに、あと1年辛抱すれば除隊できると、昇進試験を受けないでいる。暴力は嫌いで、ビンタが名物ともなっている兵舎において、初等兵を殴ったことさえなかったのだ。そんな弱々しい上等兵に元ヤクザの大宮(勝新太郎)が預けられる。暴力には暴力ではなく、頭を使った上官の手腕を期待されていたからだ。
問題はいっぱい。上官を上官とも思わない態度。すぐにケンカ。それでも今の常識から考えればまともだというところが面白い。強い男ということもあるが、真っ当なことが通らないのが旧日本軍。痛快という言葉だけで評価するのは惜しい。
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