劇場公開日 1966年3月26日

「辻口夏枝」氷点 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5辻口夏枝

2020年9月2日
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三浦綾子の原作の映画化
〈原罪〉について語られているが 展開が面白く
大ベストセラーになったのが判る

事件の元凶は 普通陽子の養母夏枝(若尾文子)と考えるのだが、彼女はその自己欺瞞のせいか反省もなく全然年も取らずに美しい

娘らしく成長した陽子(大楠道代)に敵愾心も見せる
男性の評価を自己評価の核にしているところが鬱陶しく、夫の疲労と憎悪は理解出来るが 彼の心も捻曲がっている

陽子の秘密の暴露も 自己欺瞞と北原に拒絶された腹いせと嫉妬などが重なった爆発に思えるが、優等生に追い詰められた劣等生に見えたりもする
(ここも陽子の絶望する処であるのか… )

この作品のもう一人の主役は彼女なのだと思わされた

1966年(昭和41)頃の 辻口家の家屋の和洋折衷ぶりや 素朴さが感じられる「雪まつり」の様子にも興味をひかれた

jarinkochie