ひめゆりの塔(1995)のレビュー・感想・評価
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先生目線の「ひめゆりの塔」
DVDで鑑賞。
思い出しレビューです。
先生目線で描かれた、ひめゆり学徒隊の悲劇…
酸鼻極める戦場で、教え子たちを危険に晒さざるを得ないことに苦悩する教師を、沢口靖子が見事体現していました。
純粋な乙女たちが明るさを失い、希望も持てずに疲弊し、やがて自ら死を選んだ事実を決して繰り返してはならない…
このことを忘れてはいけない、と強く思いました。
昭和20年の沖縄戦を再現した群像劇
出演 沢口靖子、永島敏行、後藤久美子、中江有里、早勢美里、大森嘉之、本田博太郎、石橋蓮司。戦争ものではあるが、陸軍野戦病院が主な舞台で、女性ばかりの新人看護師たちの過酷な運命を描く。後半の防空壕の中の生活はたいへんなものであったろう。物資は不足し、食料はなく、川の水を汲みに行って銃撃を受けて負傷するというひどい環境だ。しかし、中でもさらにひどい思いをしているのは、病人や負傷者になった傷ついた兵士たちである。戦争が進むにつれ、この世の地獄になってゆく様子がかなり痛々しい。
師範学校の女生徒たちを引率する男性教師目線で物語は進行するが、基本は無力だ。ほんとうの主役は高校を卒業したばかりの少女たちである。
学徒動員で駆り出された若き兵士がいて、看護師の卵たちがいる。
日本は、原爆を二発落とされただけでなく、各地に市街地空襲も受けているし、戦後すぐは無条件降伏ということで食料不足など悲惨な目に遭っている敗戦国なのだということをつねに忘れないようにしなければと思う。と、同時に、中国などに対しては、加害者でもあったという事実がある。
平成になってからのリメイク版だが、現在から20年以上前に製作された当時の熱は画面から失われていない。やや、役者の汚しなど綺麗すぎるきらいもあるように思えるが、兵士の役者が汚水に顔を突っ込んだり、汚れにまみれた包帯をしているなど、部分部分では、かなり頑張っている情景が思い浮かびます。
デテコーイのトラウマ
小学生の頃に親が見せてくれました。
非常に怖いです。いまだにトラウマですが、皆が刻んでおくべきトラウマだと思います。それでも経験の恐怖には1ミリも及ばない。
自分とあまり歳の変わらない少女達が、理不尽な戦争に巻き込まれても、素直に、お国のために、励ましあって陸軍病院でせっせと尽くしている様子を見て、祖父母の世代の子供達の従順さと、声を出せなくする戦争の恐ろしさを強烈に感じました。
友達が目の前で撃たれたり、川のお水でやっとお風呂に入れたり、気がふれてしまって爆撃を花火綺麗と表現する子、見捨てるしかない病床の友達や兵隊さん。先生達も精神的に限界だっただろうと思います。捕虜になる寸前で、自害を選ぶ先生、降参して命を選ぶ先生。言葉に詰まる映像も、伝わってくる心情も辛いです。
敵国に殺されるくらいなら自害を取るのが正しいと考えざるを得ない教育。国をあげて命を軽視するなんて2度と繰り返してはいけないと思います。
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