「このテの完成形」緋牡丹博徒 鉄火場列伝 KIDOLOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)
このテの完成形
オーソドックスなヤクザものを作ろうと思ったら、もうこれ以上のものはできない・・・ そういう 完成された作品だと思った。 この作品はそれを目指して作ったものであろうと。
こういった ヤクザものを面白く見せるためには、次から次へと新しいキャラクターを投入しないと話が持たない。 という 脚本戦略のもとに作り上げられ、それが成功した形であろう。人間関係が複雑すぎ 登場人物が多すぎる?・・それは観客の注意をそらさないための 一つのテクニックである。でないとベタなネタが多すぎて飽きられてしまう。 タランティーノ が パルプフィクションとレザボアドッグスでこの手法を応用して成功している。
特筆すべきは 鈴木則文が 脚本家として参加している 点である。この作品といい、「11人の侍」 といい、彼の 脚本家としての力が既に確認できる。 冒頭の、お龍 がなぜこの町にしばらく住むことになるか・・・というエピソード からして とてもよく描けている。それによってこのシリーズを見たことがない人も主人公に気持ちが移ったことであろう
さて、クライマックスが殴り込みになるパターンの映画はこれで完成してしまった。完成したということは、次からはすべて二番煎じになるということで。もう私はこの手のものは見たくない。
・・と考えると キル ビルがなぜあんな風になったのか っていうのがわかるような気がする。 タランティーナは 鈴木則文作品をいっぱい見てるから。彼は似たようなもんもやりたかったかもしれないが、それは既に陳腐だと心得ており、やるならブッ壊れたもんをやってみたかっのだろう。そう意味でキルビルは成功作品だと思う。
藤純子はこの時が一番美しい。いい時にいい映画が作られてよかった。
