劇場公開日 1973年6月9日

「【”必殺仕掛人、田宮二郎バージョン。”初めて観たけれど、何となく大学時代に書いた”昭和のマスメディア論”を思い出した作品。】」必殺仕掛人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 【”必殺仕掛人、田宮二郎バージョン。”初めて観たけれど、何となく大学時代に書いた”昭和のマスメディア論”を思い出した作品。】

2025年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

幸せ

ー 年代的に、田宮二郎さんの名前は知ってはいたが、出演作品は初めて見た。イケメンの方だったのだね。緒方拳さんと比べると端正な顔立ちである。(緒方さん、スイマセン。)ー

◆感想<Caution!内容に触れてません!>

・イキナリ、冒頭から艶っぽいシーンから始まる。
 男女が絡んでおり、枕元には春画や無残絵なども散らばっている・・。
 先年公開された豊川悦司が梅安を演じた必殺仕掛人シリーズでも艶っぽいシーンはあったが、昭和の時代劇(だけではないのかな?)は、ネットリ感というか、何かイヤらしいんだよねえ。時代の要求だったのかな。矢鱈と女性の裸が出てくるのである。マア、銭湯のシーンなどは江戸の混浴文化をキチンと描いており、令和では描かれないだろうけどね。

・それにしても、今作のレートはあったのかな。観た感じR15+だと思ったけれど・・。

■大学の時に、法律と絡めて”昭和のマスメディア論”を書いた事があるのだが、今作を観ると昭和のマスメディア(報道なども入る。)は随分緩かったのだなあと思う。マア、令和だとアダルトサイトが発達しているので、お好きな人はそちらを見るんだろうけれど。
 報道で言うと、その時に調べたんだけど「豊田商事会長刺殺事件」なんて、マスメディアが豊田商事会長がいるマンションにわんさかいる中に、日本刀を持った二人組がやって来て窓を叩き割って、豊田商事会長を刺し殺してマスメディアの前に引っ張り出して、それをカメラが撮っていたとか、誰も止めなかったんだね。
 で、それを報道で流したとか・・。

・今作で主演を務めた田宮二郎さんの自殺の原因は、最初は「白い巨塔」の過酷なスケジュールとか言われたらしいし(実際は違うようである。)、昭和の時代の映画俳優さん達の過酷な労働環境は相当に酷く(これは、令和の今でも続いているらしい。是枝監督達が改善に奔走しているけれど。)、故高峰秀子さんの数々のエッセイにも書かれているが、子役でも休みなしで、実際に高峰さんは小学校にもまともに通っていない。それでも、あれだけの名文を残すのだから凄いのであるが、驚くのはその出演本数である。一年で10本近く出演し、生涯ではナント300本以上あるからビックリである。
 それは、俳優さんや製作スタッフの多大なる疲弊を産むのだが、それでも名作が多くあるというのは驚異的である。
 日本がそういう時代だったのだろう。

・そういった中で、この”必殺仕掛人”シリーズが受けたのは、昭和の高度経済成長時代を担った偉大なる名もなき先人たちの心を癒すモノだったのだと思う。

<映画のスタイルは、世の中を映すと言われているが、令和の今はSNSの弊害をテーマにしたモノが多くなっている気がする。
 それを否定する気はないけれども、今作シリーズの様な”世の中には居てはいけないモノ”を密かに抹殺する映画が、そろそろ脚光を浴びても良いと思うし(23年公開の”豊川悦司梅安”2作は面白かった。)日本の時代劇は世界に認められた文化なのだから、もう少し映画館で掛かっても良いのではないかな、と思うのである。
 第二、第三の「侍タイムスリッパ―」の登場を、私は密かに願っているのである。>

NOBU
ぷにゃぷにゃさんのコメント
2025年8月7日

NOBUさんがきっかけで、高峰秀子の「私の渡世日記」を読みましたが、冬に夏のかっこうをして撮影したり、逆もあり、俳優はとにかく体が丈夫じゃなきゃ務まらない、と書いてありましたね。
とても強い人だと思いました。

ぷにゃぷにゃ
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