「今見ても色褪せない浦山監督による傑作映画」非行少女 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
今見ても色褪せない浦山監督による傑作映画
浦山桐郎 監督による1963年製作の日本映画。原題:Each Day I Cry、配給:日活。
主人公北若枝演ずる和泉雅子(16歳)の全身全霊で打ち込んだ様な演技が衝撃的であった。彼女が憧れていた浜田光夫の沢田三郎と離れ、3年後再会を約束され、金沢から大阪に出て一人で仕事で頑張ろうと汽車に乗り込む彼女が健気で、そして現代的でもあり、大きな拍手を送りたくなった。今見ても色褪せない傑作映画との印象。
和泉雅子の失火のせいで養鶏の仕事をなくし酒に溺れている沢田三郎、彼が再起を決意するのは不良少女保護機関恵愛学園に入った北若枝が懸命に走る姿を見てから。そんな彼の姿が、酒で寿命を短めたらしい浦山監督の姿と被る。
若枝は北陸学園で当初先輩女子から激しい喧嘩の洗礼受けるが、彼女ら(吉田志津子、大原好江らが好演)と同士的な関係となり、再生していく描写もとても良かった。
物語の背景に内灘闘争(1952〜1957、日本で起きた反基地運動の先駆けとされる)があり、三郎の兄と若枝の父が賛成派と反対派と分かれて争った過去がある様で、「私が棄てた女」を見るとそれが浦山監督の心を捉えているところは有るのかも。
監督浦山桐郎、脚色石堂淑朗 、浦山桐郎、原作森山啓(『青い靴』(雑誌発表時のタイトルは『三郎と若枝』)。
企画大塚和、撮影高村倉太郎、美術中村公彦、音楽黛敏郎、録音神谷正和、照明熊谷秀夫、編集丹治睦夫、スチル式田高一。
出演
浜田光夫(沢田三郎)、小池朝雄(沢田太郎)、香月美奈子(沢田由美子)、小夜福子(沢田ちか子)、和泉雅子(北若枝)、浜村純(北長吉)、佐々木すみ江(北勝子)、沢村貞子(叔母)、赤木蘭子(マス)、北林谷栄(北静江)、加原武門(北時十郎)、杉山俊夫(竜二)、小沢昭一(小使)、吉田志津子(日童)(富子)、大原好江(若草)(後に大原悦子)(新子)、兼松恵(若草)(アキ子)、河上信夫(園長)、高原駿雄(武田)、今井和子(武田の妻今)。
Kazu Annさん、こんにちは。
なんとDVD化もされてたのですね!驚きです。
検索すると、Amazonプライム見放題にもありました・・・
金沢の人間にとっては永久保存版です!