劇場公開日 1958年9月7日

「【”どこの馬の骨とも知らぬ男との結婚など、父は認めません!”今作は、年頃の娘を嫁にやる父親の複雑な気持ちをユーモアを交えて描いた作品である。年頃の娘を持つ父親なんて、こんなもんなんです・・。】」彼岸花 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【”どこの馬の骨とも知らぬ男との結婚など、父は認めません!”今作は、年頃の娘を嫁にやる父親の複雑な気持ちをユーモアを交えて描いた作品である。年頃の娘を持つ父親なんて、こんなもんなんです・・。】

2025年9月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

癒される

■平山(佐分利信)は、同級だった三上(笠智衆)が旧友の娘の結婚式に姿を見せなかったことを不審に思っていた。
 何でも、娘の文子(久我美子)が三上の意に沿わない男と同棲していることを知り、そんな状態で目出度い結婚式には出られないと悩んでいたからだという。
 平山はその結婚式で見事なスピーチを新郎新婦に慣れた感じで行った後に、三上からお願いされ、文子が働いているというバーへ出向くことになる。

◆感想

・観ていると、平山は会社の常務らしい。結構会社での態度が偉そうである。だが、家に帰ると全ては妻(田中絹代)が取り仕切っている。
 平山が偉そうにイロイロ行っても、妻は笑顔で馬耳東風の如く聞き流すのである。熟年夫婦あるあるである。

・平山は三上に対しては、”文子の相手の事を認めてやれよ。”などと、余裕をかまして言っているが、いざ自分の娘節子(有馬稲子)に良い人、谷口(佐田啓二)が居る事を知ると、途端に不機嫌になるのである。クスクス。
 そんな平山の愚痴を聞いても妻は笑顔で”そうね・・。”などと言って聞き流すのである。

・谷口は広島転勤が決まり、律義に平山の会社を訪ねて来て挨拶をするのである。良い男である。だが、平山は自分が知らない間に、娘節子に好きな男が出来た事が面白くないのである。
 で、家で節子に説教していると逆に“お父様は何でも、自分の想い通りに行かないと嫌な人なのよ!”と逆に涙の抗議を受けてしまい、黙って煙草を燻らすのである。(涙)

■だが、妻のみは谷口と時折会っており、その人柄の良さを認めている。更にもう一人の娘久子(桑野みゆき)も、広島に引っ越す手伝いをしに行った時に、谷口と会い、その人柄を褒めるのである。
 それまで、”俺は結婚式には出ない!”と宣っていた平山は、周囲の堀をドンドン埋められて、節子の結婚式に出席せざるを得なくなるのである。クスクス。
 ここまで観ていると、実は陰で全てを差配しているのが、実は妻ではないかという気がしてくるのである。あな、恐ろしや・・。

・そして、谷口は無事に娘の結婚式を終えるのだが、家族の二の矢は更に飛んでくるのである。それは、結婚式の最中に平山が笑顔を全く見せなったという事である。
 それで、平山は”会社が忙しいから・・。”と言っているのに、娘夫婦が居る広島へ急遽向かわされるのである。
 だが、平山は車内で、何処かホッとした表情で車掌を呼び止め、広島に着く時間を娘宛てに知らせる電報を打たせるのである。(昔は、あんなことが出来たんだね。)

<今作は、年頃の娘を嫁にやる父親の複雑な気持ちをユーモアを交えて描いた作品なのである。尚、このレビューはNOBU家とは何の関係も無い事を敢えて記す次第である・・。>

NOBU
PR U-NEXTで本編を観る