挽歌(1957)のレビュー・感想・評価
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挽歌橋
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1957年の松竹映画
原作は原田康子の1956年のベストセラー
北海道の釧路を舞台に
若い女性である兵藤怜子(久我美子)の
揺れ動く感情と行動が描かれる
コンプレックスと大人でもある桂木夫妻への憧れ、嫉妬、苛立ち
世代間の不倫への受け止め方の違いみたいなものも、うかがえる
純粋というか自己中というか、貪欲
若いひと独特の甘えや暴走、残酷さも感じられた
いま、解き放たれた、という感じも
焼け跡世代が旧世代家庭(大正世代?)を葬ったかたちだろうか
ちょっと「悲しみよこんにちは」みたいなところもある
ロケーションが良かった
木製の挽歌橋での逢瀬の場面がとても印象的で
桂木夫人(高峰三枝子)のコート姿もエレガントで素敵
衣装を調べたら森英恵だった
怜子もタートルネックやサブリナパンツのヘップバーンを連想させられた
(オードリーの相手役は年上が多いような)
釧路川のまわりの風景は
ポー川が描かれることの多い戦後のイタリア映画のよう
(北海道にもポー川があった!)
ちょっとセリフが???だが
その当時、北海道の雄大で日本離れした雰囲気(異国情緒)に
やられちゃった女性が多かったらしいのも理解
高峰三枝子がおっとりしていて、美しく
よろめいてしまったが、その神経はまっとうで繊細で
羞恥心も持ち合わせているようで
受け身だが(いままでは)大切に守られてきた女性を感じさせ
こういう世代にしかエレガンスは存在しないのかも
と、思ったりしました
夫人を許せなかった夫も結局
怜子に切り捨てられてしまいましたね
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