裸の太陽のレビュー・感想・評価
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丘さとみさんを偲んで 昭和33年の現代劇
監督は『悲しき口笛』『雲ながるる果てに』『異母兄弟』『弾丸大将』『わが青春のイレブン』の家城巳代治
脚本は『積木くずし』『映画女優』『ハチ公物語』『ユキエ』『完全なる飼育』の新藤兼人
昭和33年公開作品
モノクロ作品
同じ時代に時代劇はカラーが当たり前だったしあえてモノクロを選んだのだろう
ベルリン国際映画祭出品作品
働く若者の青春物語
Amazonで久々にDVDを購入
現代劇の丘さとみを鑑賞できるのはなかなか貴重である
京都太秦で時代劇中心だった丘さとみが東京に移動しさらに福島宇都宮ロケの現代劇
粗筋
機関士助士の木村雄二と紡績工場で働く森田ゆき子は将来を誓い合った恋仲
結婚資金のため2人で貯めた1万7千円を同じ村出身で親友の前田に貸してしまう雄二
前田は競輪にハマっており度々仕事をズル休みする不良国鉄職員という悪い評判だった
なんの相談もなくそんな前田にカネを貸した雄二にゆき子はあかんむり
楽しみにしていた海水浴にも行けなくなりゆき子と雄二には溝ができてしまう
街のデートの真っ最中に雄二とゆき子は偶然前田を見かける
借りた1万7千円を競輪に注ぎ込み負けた帰りと誤解した雄二は前田に因縁をつけ殴りかかる
警察沙汰になる大騒ぎとなり2人は逮捕されてしまう
早々と釈放され終電で帰る雄二とゆき子
そんなある日に雄二の元に同じ村出身の河合富子が尋ねてきた
夫が胸を患い手術費用が足りないことを前田に打ち明けた富子
カネがない前田は雄二から富子のために借金したのだった
前田は富子に片思いをしていたが富子はそれを知らず別の男と結婚し結婚後前田が好いていたのを知った
機関士も助士も暑い中を真っ黒になって働く正しくブラック企業だが国鉄だけに安定はしている
蒸気機関車が頼もしく俳優以外ではこの映画の主人公と言えなくもない
劇中の杉の木会とは職場のサークル活動で男声コーラスグループ
みなさん俳優だけあって美声である
カネを借りる時もカツアゲの如く凄みがある仲代達哉
今回も目つきがやばすぎる
ヘタレなら「許してください」とつい貸してしまうだろう
共演の江原真二郎と中原ひとみはのちに結婚し女の子と男の子を生む
長男土家歩は『兄弟拳バイクロッサー』で主演するなど若手俳優として活躍していたが交通事故で26歳の若さで亡くなっている
ちなみに姉里織も俳優をしていたが最初の結婚相手も交通事故で若くして亡くなっている
星美智子丘さとみ中原ひとみ見事な美人三姉妹役
モノクロなのが勿体無い
長女は妊娠中で男の子を出産
次女は長女の相棒と結婚準備だが目標の10万円を貯めるにはまだまだ年月がかかりそう
三女は百姓とお見合い予定で費用として次女から2千円を借金
具体的な金額も昭和33年(1958年)では時代が違い過ぎて価値の見当がつかない
喫茶店のコーヒー1杯が50円なのでそれが目安になるだろう
ラストは夜間閉園の峰山公園プールにこっそり忍び込み水に飛び込み泳ぐ雄二とゆき子
丘さとみの飛び込み方はあきらかに不恰好だが顔を水面なぶつけなければ良いだろう
汽車の客室と客室の間で口論する2人を眺めて台詞もなく去るちょび髭の男役の花澤徳衛がプールの管理人として再登場
叱られ謝る雄二とゆき子だったがそれでも2人は泳いだ
飛び込み方は変だけどちゃんとクロールで泳げる丘さとみ
丘さとみの貴重な水着姿が拝める名シーンだがモノクロなのが本当に勿体ない
酒好きの産婆役を演じた飯田蝶子がいい味を出していた
Wikipediaなどでは出演陣に名前がないが虫食いなど傷物で大安売りの水着を売り捌く店主役の柳谷寛もいい味を出していた
あれっこの人どこかで見たことあるなと思っていたらそりゃ当然
『ウルトラQ』の怪物が出ない異色作『あけてくれ!』で半狂乱になっていたサラリーマン沢村正吉を演じていた俳優である
ちなみに『あけてくれ!』の脚本家はのちに名作『3年B組金八先生』を書くことになる小山内美江子だということはマニアにはあまりにも有名な話
汽車で鉄橋を渡り萩ノ宮に
鉄橋には阿武隈川の文字
劇中登場する萩ノ宮という地名は実在しない
萩ノ宮のロケ地は宇都宮
宇都宮で競輪といったらもちろん宇都宮競輪
汽車が阿武隈川を渡り宇都宮に到着し海無し県で海水浴をやろうと水着を買う完全になめた展開
宇都宮の他に福島県郡山でロケをしていた模様
競輪ならいわき市にたいら競輪があるし海だってそばだ
オール福島県ロケで十分いけるしわざわざ宇都宮ロケを加える必要はなかったと思うが
意外と福島県民はこの映画を知っている人は少ない
残念である
レンタルビデオ屋で扱っている店も少なく動画配信もない
U-NEXTさん頼むわ
配役
機関士助手(カマ焚き)の木村雄二に江原真二郎
雄二の親友の前田次郎に仲代達矢
房江の妹で紡績工場で働く雄二の恋人の森田ゆき子に丘さとみ
ゆき子の妹のきみ子に中原ひとみ
機関士の崎山建造に高原駿雄
建造の妻で妊娠中の房江に星美智子
運転助役に山形勲
前田が片思いをしていた河合富子に岩崎加根子
富子の夫で病気で自衛隊を除隊した忠夫に冨田浩太郎
定年退職し今では自転車でアイス売りをしている元機関士の吉田に東野英治郎
産婆のいねに飯田蝶子
杉の木会のメンバーに畑山に高津佳男
杉の木会のメンバーに北川に清村耕次
杉の木会のメンバーに大中に高木二朗
杉の木会のメンバーに瀬戸に曽根晴美
杉の木会のメンバーに宮部に岡部正純
杉の木会のメンバーに尾形に杉義一
杉の木会のメンバーに峰岡に岡野耕作
杉の木会のメンバーに戸田に北川恵一
杉の木会のメンバーに高田に小林寛
見習いの山本に石川良昭
専門部に異動する立花に田口耕平
指導助役に織田政雄
雄二の兄の木村武市に織本順吉
終点駅の助役に神田隆
車掌に潮健児
ちょび髭の男に花澤徳衛
積荷監督に関山耕司
雄二とゆき子に水着を売る洋品店主に柳谷寛
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