裸の十九才のレビュー・感想・評価
全1件を表示
どうしてこの事件が起きたのか。 ドキュメンタリータッチで迫る。
連続殺人事件の永山則夫をテーマに、ドキュメンタリータッチで描いた映画。若き原田大二郎がとても光って熱演している。その母親役の乙羽信子は東北の田舎に住み、ぐうたらで家に帰らず博打で金のない夫との間にもうけ、たくさんの子どもと暮らしている。しかも子どもができたら産むという純朴であるが立場の弱い母親を演じている。
どうしてこの事件が起きたのか。父親・母親、兄弟関係、貧困の中での生い立ちが原因なのか。
貧困で食にも困る東北の田舎の状況から脱出するように、また夢を描生きながら上京する主人公。上京してきたものの、集団就職に馴染めない多くの若者。そして対比するように映し出される学生デモや過激派。これらのデモは集団就職の若者にはどう映ったであろうか。
当時の集団就職ではよくあったことらしいが、長く勤めることができず職を転々とし、ドロップアウトする若者も多い。中には闇の世界に入っていく者も。
同様に主人公は転々と仕事を変え、人殺ししても淡々と生き延び、純朴な青年を演じ平気で嘘をつく。
どうしてこのような性格になったのか、単に貧困なのか、その生い立ちの中で培われたものなのか、集団就職で蔑まれたことへの腹いせなのか。母親、父親への恨みなのかそれは分からない。
今回2回目であったのでストーリー展開が分かっており、衝撃的な印象が薄れてしまったが、見る価値のある映画である。
広島市映像文化ライブラリー。
コメントする (0件)
共感した! (0件)
全1件を表示