劇場公開日 1960年11月23日

「先祖の暮らし」裸の島(1960) 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 先祖の暮らし

2026年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

新藤兼人監督(1912-2012)の作品を初めて観たのは、たぶん「一枚のハガキ」(11)だったと思います。99歳、49作目の作品は遺作となってしまいましたが、この作品に込められた監督の反戦への思いは非常に重いものがあります。「私が生き、仕事を続けてこられたのは、突き詰めていくと94人の犠牲のおかげであると、私はそのことをいつか言わなきゃならないと思ってきました。今まで言えなかったこの事を最後の仕事として映画を作ろうと思ったわけです。今回、それが果たせて本当によかった。」本当に信念の人だと思います。「裸の島」は、タイトルからして不思議ですが、台詞を排し、映像と音、音楽だけでぐいぐいと迫ってくる作品でした。単調なシーンが延々と続くことにも当然意味があって、小さな島暮らしの貧しさ、厳しさがひしひしと伝わってきます。片時も休まず働き続ける両親と親を助けるために奔走している兄弟には、ゆっくり団らんという場面もありませんが、家族の温もりが十分に伝わってきました。自分には島暮らしの経験はありませんが、遠い先祖がこれに似た経験をして、そのお陰で今の生活があるかのような気持ちになりました。

赤ヒゲ