劇場公開日 1960年11月23日

「凄いな、この尖り具合」裸の島(1960) La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 凄いな、この尖り具合

2025年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さようなら 昭和百年特集 で鑑賞

 瀬戸内海の水もない小島でへばりつくようにたった4人で生きる家族の日々を淡々と描いた新藤兼人さんの脚本・監督作です。この作品の大きな特徴は、鳴き声や笑い声以外には台詞が一切ない事です。脚本家である新藤さんが台詞のない映画を作るのですから、その尖がり具合に驚かされます。

 家族が住む島は本当に小さく、地面の殆どが耕されて農地になっています。しかし水がない為に、伝馬船を漕いで水のある地から汲んで来ます。世の中にはテレビが出始めた時代の様ですが、島には電気もガスも勿論ありません。なぜそんな島に暮らしているのかの説明もありません。ただ淡々と生を紡ぐのです。それが全く会話がないまま描かれます。でも、生きる事の素の姿を言葉で隠さず表そうとするとこうなったのでしょう。「言葉から遠い所で佇んでいたい」という『旅と日々』の言葉を思い出した。

 この時代にこの先鋭性は凄いな。そして、乙羽信子さんの気丈さが美しいな。

La Strada