橋のない川(1969)のレビュー・感想・評価
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ラストシーンはモノクロからカラーへと変わる珍しい編集。
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リメイク版を先に見ていたのに、こちらの方がわかりやすく感情移入もしやすい仕上がりとなっていた。特に小学生だった誠太郎の「エッタ」と差別することに反発するも自ら喧嘩の理由を言えない気持ち。そして、職員室に文句を言いに飛び込んだお祖母ちゃん役の北林谷栄。
そして後半に入ってからは、弟の孝二の在所の少女・杉本まちえへの淡い恋心。明治天皇崩御の大葬の夜に彼女に手を握られたこと・・・これが後に「小森の人は蛇のように冷たい手」ということを確かめたかったと告げられるショック。第二部にもこのエピソードが繋がっていくが、ここからずっと孝二が恋をしてないところからして、かなりトラウマとなったのだろう。在所の子でも部落民に差別意識がない子がいると信じていたことが崩れ去ったのだから・・・
最も泣けるのは火事を出してしまった藤作の息子武のエピソードだけども、火事に対して、小森という理由で消火活動しない在所の人たち。自殺してしまったのは差別が直接原因ではないにしろ、いじめによって卑屈な心になっていたんだろうと想像できる。最後にはこの大火によって藤作(伊藤)が家を売って消防ポンプを買い、部落対抗提灯落としに勝つまでのストーリーとなる。その優勝旗を他の村の者が結託して奪い焼き払うという、可笑しいほどの光景によってエンディングを迎える。 差別の実態、人間のいやらしさが伝わるエピソードがいっぱいで、人間不信にも陥りそうです。
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