「戦争映画の名作が4K版にて公開です」野火(1959) kinako-catさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争映画の名作が4K版にて公開です
レイテ島を舞台に、飢えと病に追い詰められ彷徨する一兵士を描いた作品。
部隊にも病院にも拒まれ、米軍の攻撃が激化する中、極限状態でただひとり生き延びようとする主人公、田村。
事実、太平洋戦争で亡くなった日本兵の多くは、戦闘ではなく、「飢餓」や「病気」が原因だったとも言われています。
映像は古いけれど、今見ると、その“古さ”とモノクロ映像が、生々しいリアルさを際立たせているみたい。
容赦ない米軍の攻撃、そして食糧のない過酷な環境で、兵士たちは衰弱し、野を彷徨う。
軍靴はボロボロになり、亡骸から靴を脱がして履く者もいる 描写。
この描写で戦場では、服よりも〈靴〉の重要性を痛感させられます。
やがて一部の兵士は“猿”を捕えて食べるようになるが、その“猿”が人間の暗喩だと気づいた田村は、それを拒絶するが、飢えはとまらない。
米軍に降伏しようとした兵士は味方に撃たれて命を落とす。
まったく、とんでもなく理不尽な放置プレイ……。
モノクロの強いコントラストが、まるで地獄絵のような光景を描き出してます。
こんな地獄が、かつて実際にあった――。
そして、こんな地獄を、体験したくないと思わせられる作品でした。
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