「愛と哀しみの東京の夜(ハードボイルド)」ヌードの夜 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
愛と哀しみの東京の夜(ハードボイルド)
石井隆監督1993年の作品。
東京で“何でも代行屋”をする紅次郎。
そんな彼の元を、一人の女が訪ねて来る。女は名美と名乗り、東京に出て来て日が浅く、観光案内して欲しいというのだ。
何処か訳あり風ながらも魅力的な彼女に惹かれる次郎。
依頼を終え、ホテルに送り届けた…その翌日、名美からホテルに預けた物を取って来て欲しいと連絡が。
言われた通りに部屋に行くと、バスルームに男の死体が…。
次郎は嵌められた。
結婚相手が出来た名美。ホストクラブの支配人・行方と関係を断ち切ろうとするが、相手は逆上。暴行の上に犯されてしまう…。
殺意が芽生え、死に物狂いで…。
その時たまたま見かけた次郎の代行張り紙。罪を、次郎に…。
最初の名美の印象は派手な服に身を包み、ゴージャス。余貴美子の魅惑さもあって、“ファム・ファタール”。
代行屋能力を活かして、名美を捜し出した次郎。
ここまで意地になる理由は…? 怒りか、嵌められた侮辱/屈辱からか、それとも…?
が、再び会った名美の印象はまるで違った。弱々しく、哀しい女。
そんな女に惚れた男もまた…。石井作品常連の竹中直人が個性と哀愁たっぷり。
行方の弟分が襲撃する。
追い詰められていく次郎と名美。
共に哀しい宿命を背負った男と女。
でもこの出会いは、運命だったのか。
例えそれが、悲劇的であっても…。
石井監督が描く東京の夜(ハードボイルド)は、堪らなくカッコ良く、官能的で、切なく哀しい。
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