「命を粗末にする奴は、人間やなかぞ。おのれが人間捨てるっちゅうのなら、おれも人間捨てちゃる。」日本侠客伝 昇り龍 たーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
命を粗末にする奴は、人間やなかぞ。おのれが人間捨てるっちゅうのなら、おれも人間捨てちゃる。
前作の「昭和残侠伝 花と龍」とほぼ同じキャラクターが登場するのですが、今回の方が玉井金五郎(高倉健)とお京(藤純子)との関係が深く書かれていて、妻のマン(中村玉緒)は健気な妻みたいな感じで描かれていました。
金五郎が闇討ちになった時のお礼で、自分の身体に刺青を彫る事を許す金五郎ですが、こんな簡単に刺青を入れさせるものなのでしょうか。今の時代だと刺青というのは、かなりのリスクになるとおもうのですが、この時代の職人たちにはステイタスだったのでしょうか。
今回は金五郎が妻があるのを隠して、お京に刺青を彫ってもらうのですが、そこに「京」と赤字で刺青の中に名を彫っていて、これをマンが気が付くシーンがあります。
女の思いというのは深いなと思いました。
あとイモリが現れて京が「怖いんだもの」というシーンがありますが、この時の藤さんのブリッ子芝居は可愛かったです。
あとは特にドテラ婆さん事島村ギン(荒木道子)に助けられた部分が多く、この時代に女親分で男たちを仕切っていた存在を荒木道子さんが堂々と演じていました。
また特に今回は片岡千恵蔵さんが吉田磯吉役でドテラ婆さんからも尊敬されている迫力ある親分で登場していて、カッコ良かったです。
「ごんぞう」という人夫が機械ら仕事を奪われて、労働条件や適職につくまでの就労補償をしてもらえるように金五郎が労働組合を作って交渉していくストーリーなのですが、労働者にとってはヒーローだとは思いますが、かなりムチャクチャな要求をしているなとも思いました。断られても仕方ないだろうなと思うところを、力づくて交渉していくというのも前時代的だなとも思うのです。
闇討ちに合った金五郎を助けた京が輸血をして助けるシーンがありますが、その前のシーンでかなり酔って歩いていたと思うのですが、飲酒している人の血液って輸血出来るんですかね?血液にもアルコールが入っていて、酔っぱらってしまうのでは?とも思いました。
お京は東京にいた時に京の事を「姉さん」と呼ぶ五郎(伊吹五郎)が現れますが、この人物は本当の弟なのでしよぅか。市民の集会での暴動が起きた時にドテラ婆さんを射殺したのは五郎だと思うのですが、五郎は友田組の組員だったのでしょうか。何だか唐突に現れて射殺したように見えてしまいました。
友田組に一人で乗り込んで、大立ち回りをするシーンは迫力がありました。