日本侠客伝 雷門の決斗のレビュー・感想・評価
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島田正吾のずば抜けた存在感
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日本映画専門チャンネル「高倉健劇場」で鑑賞。
浅草を舞台にしているので、サブタイトルの雷門が象徴的に登場するのかと思っていたが全くそんなことは無かった。そして「決斗」をするわけでも無かった。まぁ特に気にすることも無いか⋯
仁義にもとる悪徳興行社の所業に我慢に我慢を重ね、堪忍袋の緒が切れる。話の流れはいつものパターンで、どんなことが起こるのかは察しがつく。誰が死ぬのかもだいたい想像が出来てしまう。
高倉健氏に最終的に殴り込んでもらわないといけないので仕方が無いとしても、死ぬと予想した登場人物に思い入れが持ってしまっていたら、とても悲しくなるし、敵への憎しみがいや増す。
本作における島田正吾氏の演じた中川喜三郎がそれに当たるキャラクターだ。1973年の「日本沈没」で知って以来、島田氏の少し掠れたような声が好きで、本作でもそれが味になっている。
渡世から足を洗い、堅気となった老人と云う設定で、藤山寛美氏と藤純子氏が演じる兄弟の父親でもある。殺された父の跡を継いで慣れない興行の世界で奮闘する高倉氏を優しく見守るのだ。
中川喜三郎は義理に生きる本筋の男である。島田氏の名演が見事で、中川喜三郎に息吹を吹き込んでいた。そんな彼が決意を固めて敵陣に乗り込んで、壮絶な最期を遂げてしまうのだった。
その様がまさに凄まじく、最期の表情が無念さを物語る渾身の演技で引き込まれた。瞬時に「敵、許すまじ」の心境になった。その後の殴り込みで見事留飲が下がり、私の無念も晴らされた。
[余談]
藤純子(現、富司純子)氏の美しさは至宝だ。
*修正(2025/11/23)
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