劇場公開日 1962年1月3日

「北林谷栄×ミヤコ蝶々!」喜劇 にっぽんのお婆あちゃん 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0北林谷栄×ミヤコ蝶々!

2013年6月20日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

今井正監督・水木洋子脚本による1962年の作品。
高齢化社会問題を題材にしたブラック・コメディ。

当時は高度経済成長期。戦後から復興し、日本が前向きに明るく輝いていた時代。そんな時代に、将来日本が高齢化社会になると誰が予期しただろう。時代を先見した鋭い視点が素晴らしい。

主人公は二人の老婆。一人は老人ホームを抜け出し、もう一人は家の中に居場所が無い。二人が出会って、町をさまよう。
老いた者は社会の隅っこに追いやられ、のけ者扱い。社会の冷たい仕打ちは昔も今も変わらない。
二人のとぼけた味わいはコミカルだが、二人が置かれる現状は皮肉たっぷり、チクリと風刺する。

主演は北林谷栄とミヤコ蝶々。撮影時まだ初老前。強烈!
老人役の第一任者が多数顔を揃えた他、十朱幸代、市原悦子が若い!寅さん前の渥美清も出演。活気溢れる浅草の描写も出色。

近大