西陣の姉妹のレビュー・感想・評価
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市電が走る。その側で。
西陣の織元・大森屋は莫大な借金で虫の息。宇野重吉の番頭は高利貸しの菅井一郎から家を抵当に挽回を試みるのだが。昭和20年代の西陣の町屋を再現したセット(毎日映画コンクール美術賞受賞)は見ごたえあるが、市電が走っている姿を見られるのが嬉しい。まあ、その側で宇野重吉はトンデモナイことをするのだが。『怪奇大作戦』のあの問題作を彷彿させる。
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日本映画栄光の1952年〜1954年。
この時代が如何に凄かったかかはこの作品がキネ旬ベストテン入りを逃している事実が物語っている。今ならベストワン確実だろう。
この映画の素晴らしさは新藤兼人の脚本に尽きる。時代に取り残され没落して行く西陣の織元を「これでもか!」とばかりに情け容赦無く叩き潰して行く。
これを東山千栄子の女主人と3人姉妹に、夫の妾で元芸姑の田中絹代がひっそりと支援する慎ましさ。
宇野重吉の番頭を初め織元の仕事で生活している庶民の暮らしぶり。
菅井一郎の悪徳高利貸しは絶品中の絶品だが、進藤栄太郎の偽善者振りも絶品です。
あまりの悲惨な物語は新藤兼人の師匠である溝口健二の名作『西鶴一代女』と同じ年に製作された事に驚く。
『西鶴一代女』にはとことん堕ちて行きながらもどことなく希望の光に満ちた崇高な作品だったのに比べて、この作品にはラストシーンに象徴される様に、それが見いだせ無いのが多少残念ながらも傑作である事には間違い無いところです。
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