映画ドラえもん のび太の太陽王伝説のレビュー・感想・評価
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不評な評価が多いが、個人的にはいい出来だった
どこか別の世界に繋がってしまったというありがちな展開から始まるのだが、今作は敵である魔女レディナがプロローグ時点で判明しており、ラスボスが女性というのも含めて他作品とは異色な部分となっている。また、のび太そっくりの王子様であるティオとの入れ替わり生活も描かれるのだが、こちらもまたのび太のグータラ具合と、魔女レディナの呪いを解く手がかりを求めて入れ替わりを提案したティオの真剣さに差があって面白い。ありがちな設定である入れ替わりネタではあるのだが、のび太が元々グータラキャラかつ優しいため、ティオの幼馴染であるククとの関係を良好にしたり、あやとりを使って子供ウケするシーンもあった。
ドラえもんにしては珍しくスペアポケットをのび太に渡しており、それを使ってのび太はこっそりと雨を降らせたことで、雨乞いの生贄にされる予定だった少女を助けている。表立って助けないところも好印象だ。一方ティオはジャイアンと喧嘩するなど大暴れ。しずかちゃんからは「そんなのび太さんなんか大嫌い」と涙ながらに言われたことで、ティオも困惑する。そしていたたまれなくなったドラえもんが実は入れ替わっているということを明かす。入れ替わり生活を満喫していたのび太だったが、ティオの棒術指南役であるイシュマルにボコボコにされたことで入れ替わりは終了。ティオそっくりでは悪目立ちしてしまうので、のび太はカツラを被って女装することになる。
ティオは自分の陰口を叩いていたカカオとモカに、決闘と言っても過言ではないサカディをするように告げる。サッカーに似た3点先取の競技だが、1対2という圧倒的不利な状況であっという間にティオは追いつめられる。しかし、のび太がティオに加勢したことで逆転勝利した。敗者は命すら取られるリスクのあった勝負であったが、ティオに両名の処遇を決めることを求められたのび太は許すことを選ぶ。その選択に驚くティオ。ティオは王子という立場や、母が眠らされているという影響もあって刺々しい性格であったものの、のび太たちとの交流を通じて変化して行く。
その後、ククが魔女レディナの手下に攫われたことで一人で助けに行くティオ。おそらくのび太と関わる前のティオなら見殺しにしていただろう。だが、のび太が命懸けでティオを助けたように見捨てることなど出来なくなっていたのだ。こういうシーンも変化が感じられていい。こういうのび太の優しさが周囲に影響を与えるというところが、未来でしずかちゃんがのび太を選ぶ要因になるのは間違いない。
ククが攫われたことを知ったドラえもん達はイシュマルを加えてティオを追い掛ける。7人になった一行だったが、イシュマルは崖から転落して離脱してしまう。ただその後にどこでもだれでもローラースケートで水上すら走っているシーンを見ると、これで崖を登れば良かったのでは?感は凄い。まぁこのスケート中ににティオは拉致されてしまうのだが。今作は最後の最後にようやくポケットが燃えてピンチとなるまでひみつ道具を使いまくるのだが、燃やすシーン必要だったか?と思うほど使えない期間が短い。何しろすぐにのび太がスペアポケットをドラえもんにパスしてしまう。
ジャイアンはイシュマルに師事して棒術を少しの間教わっており、その棒術で敵と戦うシーンがある。押されていたジャイアンだったが、敵の気が逸れた瞬間を狙って突き落とすシーンがあるなど、ひみつ道具無しで活躍するという優遇具合。まぁ敵は倒せておらず、結局後から駆けつけて来たイシュマルが倒すのだが。スネ夫もラジコンを操作して敵を倒すなど活躍するシーンがある一方、しずかちゃんは目立った活躍が無い。
日食を用いた儀式でのび太が魔女レディナに肉体を奪われそうになったところへ現れるティオ。自らの命を顧みずにのび太を救うために現れるシーンは非常にカッコイイ。全く同じ顔の人間が現れて困惑したレディナは、のび太とティオの活躍によって倒される。日食が終わり急速に老婆へと変貌したレディナは最後の力を使いのび太とティオを遺跡の崩壊に巻き込んで亡き者にしようとするが、桃太郎印のきびだんごを食べたコンドルによって二人とも助かる。
目覚めたティオの母親によってマヤナ国の新たな太陽王として君臨するティオ。ここもまた他の作品と違うのだが、なんとティオとの別れのシーンが無い。のび太達はまた来ようと思っていたのに、なんとタイムホールの時空の乱れが直ってしまい今生の別れとなってしまうのだ。そして最後にジャンケンの結果、王子様になったしずかちゃんと白雪姫になったジャイアンという地獄絵図が見られる。予想出来るエンディングではあるのだが、これも面白い。
アルファオスなのび太が見られる。
主題歌をウィーン少年合唱団が歌っているそうです。
日本語歌詞のためところどころ日本語がおかしくて、
美しい声で『とってもだいすきドライ〜もん〜♫』と歌っていて笑えました。歌声は美しすぎると逆に面白くなるのですね。
好きなシーンはのび太(ほんとは王子)が家に来たしずかちゃんを『女は邪魔だ!帰れ!』とピシャリと言い放ち追っ払うところ。
このシーンだけ2回観ました。
これだから昔のドラえもんは楽しい。
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