電送人間のレビュー・感想・評価
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ドラエモンには敵わない
「美女と液体人間」を観たので変身3部作を観ることにしました、本作は第2弾。
ホラー要素は消えて事件もの、軍隊時代の卑劣な仲間への復讐殺人と人間のテレポーテションを組み合わせたSF犯罪映画。伝送後は生身に戻るようだし無敵になる訳でもない、送受信装置が必要だしどこへでも神出鬼没と言う訳でもないので凄さがあまり感じられない、研究室はともかく、電源もない倉庫や貨車で動かすのは無理だろう。相変わらず博士を出してもっともらしい説明をつけているが今の子が観たらドラエモンのどこでもドアの方が凄いと言うだろう。
時代描写は前作の進駐軍クラブ風から一転して軍国キャバレー、唐十郎らがやっていた金粉ショーまで持ち込んで話題作りとお色気サービスは踏襲、白川さんの必然性のないスリップ姿まで入れてるあたりはもうフォーマット。あの時代としては精いっぱいという気もするが今観るとやはりB級企画なのだろう。
復讐鬼をつくり出した人間の業
変身人間シリーズ第2作。
DVDで2回目の鑑賞。
電送装置を使って連続復讐殺人を犯す須藤元兵長と、主人公の新聞記者と刑事たちの攻防を描いた特撮スリラー。
主人公の鶴田浩二の存在感が渋い…。元々福田純監督が助監督時代から付き合いがあったそうで、それを知った田中友幸プロデューサーが本作が監督デビューとなった福田監督への餞のつもりで鶴田へ主演オファーした、と云う経緯のようです。
鶴田浩二は大スターでありながら、非常に面倒見の良い人物だったそうで、親交のある人や後輩の晴れ舞台となると、端役でもなんでも出演したそうです。スターならば毛嫌いしそうな特撮作品に出演したのも、そう云う事情があったみたいですねぇ…。いやはやありがたいことです(笑)
電送装置でのテレポーテーションの後遺症なのか、須藤の顔が爛れているのがめちゃくちゃ怖くて不気味でした…。
犯行時に須藤の体にテレビの走査線のようなノイズが走る、と云う細かい描写に、“特撮の神様”円谷英二特技監督の並々ならぬこだわりを感じました。
電送装置のつくり込みも大したものだなぁ、と…。ディテールの随所に“それっぽさ”が満載で、本当にテレポーテーションできそうなクォリティーだなと思いました。
光学合成を多用した特撮が堪能でき、技術の粋を結集してつくり上げたのであろう渾身の映像に息を呑むばかりでした。
だんだんと怪人じみて来る須藤ですが、内容を深読みするとすれば、そんな復讐鬼をつくり出した人間の業の深さを見詰めるべき作品となっているのではないかな、と…。
実際はどうかは分かりませんが、戦後の混乱のどさくさに紛れて、理不尽を被った人は数知れずいそうです…。須藤もそんな中のひとりではないでしょうか?
※鑑賞記録
2020/10/11:Amazonプライム・ビデオ(3回目)
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