電送人間のレビュー・感想・評価
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マトリックスにつながるサイバーSF映画の始祖だというのは言い過ぎだろうか?
1958年の米国SF映画の名作「蠅男の恐怖」が元ネタ
蠅男のモチーフを省いて、電送人間のアイデアを殺人事件に流用したもの
電送装置のスキャンチェンバーのセットはそれの影響を受けているが、スキャンシーンの映像効果は独創的で素晴らしい出来映え
電送原理をなんとなく映像で納得させてしまう力がある
後年の宇宙大作戦での転送装置での転送シーンよりもクォリティーがある
むしろマトリックスにつながるサイバーSF映画の始祖だというのは言い過ぎだろうか?
前作の美女と液体人間よりは脚本がマシだが、まあ穴だらけ
それでも最後まで面白くみる事ができるのは、主演の当時トップスターの鶴田浩二の力が大きい
もともと本多猪四郎が撮るはずであったが、他の作品の遅延で手が回らず弟子の福田純に監督が回って来たとのこと
トップスターの鶴田浩二が駆け出しの福田純監督のそれも低予算の特撮映画に出演したのは、人間関係に依るものとのこと
公開は1960年だから60年安保で騒然とした世相の中だったわけで、軍国キャバレーを悪役の経営の店に設定して、秘密兵器の電送装置と組み合わせて、戦前の悪夢が蘇ることへの世論の反発という当時の時代性を脚本に反映させているところはなかなかで、脚本も全く駄目という訳ではない
超科学の説明としては戦時中の秘密兵器開発が由来という設定は、当時はナチの秘密兵器とかは洋画でも有りがちのモチーフ
1955年に原作が連載開始された鉄人28号も同じ
金粉ショーは007のゴールドフィンガーが有名だが、それより4年早い
軍国キャバレーって何だ(笑)
金粉塗った女性が出てくるとは思わなかった(笑)
さすが国賊の発想は違う(笑)
あのような国賊に須藤兵長の怒りは当たり前だ。
冒頭に現れた須藤兵長が不気味で無機質なしゃべり方、動かない口元とか面白い。
国を裏切って利益を得ようとした連中に天誅を加えるのだが、この電送人間を離れた土地に送るには送り先に受像機がなければ行き来ができない。
いきなり奇襲を掛ける訳でもないから、復讐のために無理やり使う方が面倒な気がする。
その辺を考えるとちょっと残念感が漂う。
復讐人間
東宝特撮1960年の作品。
「美女と液体人間」に続く、“変身人間シリーズ”の第2弾。
遊園地のお化け屋敷で白昼堂々、殺人事件が発生。犯人は、突然現れ忽然と姿を消したという…。
捜査を進める内、明らかになった犯人とは…
電送機を使ってテレポーテーションのように現れる“電送人間”。
電送される際は頭から徐々に消え、妖しい光を発し、身体にはノイズが走る。
CGも無い時代、光学撮影や合成など工夫を凝らした円谷特撮演出のユニークな映像表現や芸の細かさ!
設定や題材はSFだが、話自体は捜査モノもしくは復讐モノとなっている。
新聞記者と刑事が事件と犯人に迫っていく、優れたストーリー展開とは言い難いが、B級グルメ的な程好さ。
殺された人物たちには共通点があり。
犯行の動機は、終戦のどさくさの中で起きたある事件。
電送人間と言っても化け物のような怪人ではない。
電送機を出れば、生身の人間。
目的の為ならば関係ない他者をも殺める、心と身体に深い傷を負った哀しき復讐鬼…。
劇中に登場する旧日本軍モチーフのキャバレー。
実際にあったら、頭おかしそうだけど、何か面白そう。
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