大菩薩峠 完結篇(1961)のレビュー・感想・評価
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圧巻のラスト
詳しいところは知らないのですが大菩薩峠は人気ある題材だったの?
この市川雷雨版のほかに片岡千恵蔵、三船敏郎版もありますね。
シリーズ最初のほうは正直ちょっと飽きましたが、後半に入るにつれて目が離せなくなってきます。といっても長いことは確か。
あらすじは東海道四谷怪談とほぼ同じ。もともとそれを下敷きに描かれたものなのかな?
ラストの声をもかき消すような濁流は圧巻。行く先はもう…。誰もが彼の運命を悟るよね。
玉緒がかわいいです。そして市川雷蔵。威圧的な怖さはないんだけど梨園出身のせいかあの声といい、浮世離れした空気といい、妖怪的なおぞましさを感じます。
役柄的にはものすごく人間的な業にまみれた男のはずなのだけれど。
新解釈のようにもかんじられて面白い。
三船、仲代のバージョンも気になります。キャストに加え、監督が岡本喜八とあっては面白くないはずなさそうだ。
虚無の濁流
"大菩薩峠(大映版)" 三部作第3部。
"大映4K映画祭" で鑑賞(4Kデジタル修復版)。
原作は未読です。
全体的に、脚本の荒さが目につきました。
前作のラストで崖から転落したかに見えた竜之助でしたが、どうやら無傷だし着物も汚れていないしで、どうやって助かったのかの説明も無く、ちょっともやもやしました。前作までのあらすじよりもそこが大事じゃないか?(笑)。
攫われたお松の動向もよく分からないままでした。お松を助けてくれた芸者がお松の代わりに宇津木兵馬たちの追跡行に同行し、そのまま大菩薩峠まで行ってしまうと云う展開も疑問だらけ(最後までお松を助けた芸者であることに兵馬らは気づかず仕舞い)。山本富士子が多忙で出演出来なかったのか?
自ら地獄へ突き進み続けた机竜之助にもついに最期の時が訪れましたが、業の深い彼の最期としてはあっけないな、と…
期待していた兵馬との怒涛の対決もとうとう無く、肩透かしを食らった感じでした。確かに虚しくはあったけれども…
[余談]
三人目のそっくりさん、お銀が登場。再び中村玉緒の演技力に舌を巻きました。本作では一人三役をこなしていたし、どの役も巧みに演じ分けていたので、もしかしたらこの三部作が俳優としての出世作になったのではないかと思いました。
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