台風クラブのレビュー・感想・評価
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こんな話だったのか。
わけのわからない中学生が最初は眩しく見えた前半。(間違っていた)
台風が来る前の不穏な空気。不気味な予兆。
吐き気がしそうな「おかえりなさい」「ただいま」。狂気の後半。
猛烈な台風。
そして台風一過。
実際にあんなことができる(起こる)とは思わないけど、あんなことはいつでも起こりそうな不安定さ。危うさ。中学生。
以前見た時のことをすっかり忘れていたが、こんな話だったのか。批判する人の気持ちもよくわかるが、見直してみて悪くなかった。というか好きかも。いや、好きというのとも違うか。
いい加減な三浦友和。好きだった。
もしも明日が晴れならば
なぜか不思議なシーンがいっぱい。特に商店街の白ずくめのオカリナ吹きカップルがいい。考えてみれば、3年の夏に野球部を辞めた生徒が夜中のプールにユニフォームで駆けつけるところから疑問。受験勉強が始まることへの抵抗か、受験戦争のまっただ中に放り出されることへの不安なのか、田舎の中にも閉塞感が感じられる。
微妙な年齢であることに加え、担任(三浦友和)の結婚詐欺疑惑みたいな事件で生徒たちは複雑な気持ちになる。台風が来てくれれば全部吹き飛ばしてくれそう。また、明に行ったイジメにも似た行為を恥じたり、レズビアンの関係への好奇心、そして健が美智子背中に薬品をかけたことの罪悪感・・・男女間にも様々な葛藤があった。
日常からの脱却。大人になったらもっと逃避したいときがある。責任感の薄い中学生時代だからこそ、何もかも忘れて饗宴できたのだろう。そのクライマックスにおける体育館での狂ったような踊りは全てを吹っ飛ばしてくれる。下着姿からブラまで取って・・・引きの映像に見入ってしまった。
『犬神家の一族』へのオマージュはちょっと衝撃。ちょっとしたワンカットが絶妙でもあった。見て損もないけど、若い頃に観るのと歳取ってから観るのではイメージが変わってしまうかもしれません。
鬱屈した田舎の中学生達は爆発するきっかけを待っている。
HDリマスター版をアマプラにて鑑賞。
リマスター版は暗闇のシーンが真っ暗で何も見えず、誰が監修したのかと問いたくなるほど最悪なものだった。
学生時代に映画館で観て衝撃を受け、それ以降一時期定期的にレンタルなどで鑑賞していたが、今回の鑑賞は実に20年ぶりくらいかと思う。
一口で言い表すことは難しいが、大まかなストーリーとしては、
全く不良にも見えないむしろ幼さすら残る普通の田舎の中学生達が、まるで台風の襲来とシンクロするかのように校内に居残り、日頃の鬱屈した脆く不安定な感情をそれぞれが爆発させ到底理解できないような行動に走る・・・といったところか。
しかしながらこの映画はストーリー云々を言うものではなく、少年少女が持っている彼らなりのはけ口が見つからない破裂ギリギリのエネルギーのようなものをいかに演技で表現し、観る側がそれをいかに受け止めることができるかが意図された見どころであり、鑑賞の醍醐味でもあるという、ある意味極めて演劇的な作品なのである。
工藤夕貴はじめ、実年齢も役とほぼ同じくらいのミドルティーンの無名の役者たちが、確かに演技としては未熟かもしれないが、嘘のつき用のない文字通り誠実で体当たりの演技をするため、リアリティのない軌道を外れた行動すらも不思議と受け入れる事ができてしまう。
工藤夕貴の布団に入り〇〇するシーンのワンカメ長回しや、それまでに優等生で二枚目役ばかりだった三浦友和のちょいクズで飄々とした人間臭い演技なども含め、相米慎二の強烈な演出力を感じ取ることができる、観る人の心に焼き印の如く心の目立つところに熱く半永久的に刻まれる、そういう映画なのである。
子供の頃には分からなかったけど
子供の頃に見た映画を、リマスタ化したAmazonで再見。
当時はよく分からなかったけど、結構攻めている映画だったんですね。工藤夕貴さんはアイドル的な女優さんだったと思いますが、ここまでさせるか、という感じです。自分的には、声優さんとしておなじみな渕崎ゆり子さんの少女時代が見れたのがうれしい。
台風とは学生運動とかの大きな世の中のうねりのイメージでしょうか。若者は鬱屈した葛藤を抱えていて、それは現代においては、崇高な死が無くなり、くだらない大人になるしかない、という現実があるためだ。主人公は、純粋な若者のまま崇高な死を体現しようとするが、それは客観的には滑稽な死でしか無かった、とそういう事かと思いました。
大昔に話題になっていたので観てみたが、これはひどい。 こんなものが...
ATGと東宝っぽい
鮮烈なインパクト
若さ溢れる
今こそ本作と家族ゲームを受けて令和の時代の台風クラブをリメイクしなければならない
家族ゲームに遅れること2年
ここでは家族のゲームを演じる家庭どころか
親すら登場しなくなっている
健の親が台詞もなく一瞬映るのみだ
それも彼の家が困窮家庭でネグレクトされていることを説明する為だけに登場する
ただいま、お帰りなさいの台詞はそれを表現するものだ
理恵が寝坊した時に父も母もいない
母を呼ぶだけで、父は呼びもしない
彼女は誰もいない家で母の布団にくるまり自慰をする
それは愛情に飢えている表現だ
台風の中の商店街で出会うオカリナを吹く不思議な男女
あれば彼女の両親の投影だ
オカリナはオカルトのもじり
彼女のオカルト趣味は両親から来ているものなのだろう
しかしその両親は娘の助けの求めには応えてくれず、全く取り合ってもくれないのだ
仕方なく警官の人形にすがるのだが勿論応えてくれるわけもない
兄弟も三上の兄だけが極短時間姿をみせるだけだ
その兄も弟への声かけは家計の心配、ひいては自分にどのようなしわ寄せが来るのかの心配によるものだ
思春期の不安定な精神を正面から受け止めてくれる家族はどの子供達にもいないのだ
子供達だけで思春期の精神の不安定さを乗り切ろうとするほかないのだ
台風という思春期の熱病の嵐の中で子供達は、所詮遊びつかれたら眠るだけの何もできない子供であることを知る
家出をして東京にいく、彼女を襲う、自殺を図る
これらは全部子供たちの夢想に過ぎない
だから、シャイニングや犬神家の一族の有名シーンのオマージュがあるわけだ
台風が去り子供達の精神が安定すれば、空は明るく晴れ渡り子供達は表面的には何事もなく学校に向かい日常にもどるのだ
一方、大人の代表たる梅宮先生は大人達だけで台風の中カラオケをしている
そこには濃密な心の触れあいがあるが、それは大人だけでしかない
家族が作られようとしているのだが、あの二人が結婚しても果たして普通の家族になり得るのか
それを先生の彼女の父の刺青が不安として表現している
子供達の親は団塊の世代の始めだろう、梅宮先生はその終わりの年頃にあたる
子供達は団塊ジュニアの走りになる
この構造は家族ゲームと同じだ
しかし本作では家族ゲームで松田優作が演じた家庭教師に相当する梅宮先生まで、子供達を突き放しているのだ
彼は子供達に夢や希望を与えようなどとはこれっぽっちも思っていない
それどころかか15年もたてば自分のこのような姿に成り果てるのだとさえ言い放ち子供達のそれを破壊するのだ
こうした家族の環境の中で団塊ジュニアは育ち今や大人になり、本作で登場しない親の歳になっているのだ
本作公開からそれほどの時は流れたのだ
子は親にされたようにしか子供を育てることは出来ないものだ
一体いまの中学三年生は台風が来たら、どう子供達は乗り切っているのだろうか?
ネットの中に避難しているのかも知れない
今こそ本作と家族ゲームを受けて令和の時代の台風クラブをリメイクしなければならないと切に思う
思春期のエネルギーをもて余す感じ
・力加減が分からない暴力性
・嵐の中教室や体育館の壇上、校庭で半裸の中学生が狂乱で踊るシーンはただただスゲェって感想
・特に廊下から教室の中を捉えた定点ショットのダンスシーンは印象的
・♪「もし~も、明日が~、晴れ~ならば」
・女子中学生の下着姿がこれでもかと惜し気もなく見せてきて戸惑った
・喫煙、レズ、レイプまがい
・終盤の嵐が開けた朝、男子生徒が窓から飛び降りるショックなシーンだが、クラスメートが降りてみてみると上半身が突き刺さる犬神家スタイルでギャグなのか何なのか…
相米監督への苦手意識を確立した作品
ジム・ジャームッシュも注目した映画だが、僕にとっては凡庸な作品でしかない
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