「日常は危ういバランスの上にあることを痛感させられる物語」台風クラブ prishouさんの映画レビュー(感想・評価)
日常は危ういバランスの上にあることを痛感させられる物語
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若い頃に観た時は「台風が来て、みんな舞い上がっちゃう映画」くらいの印象でした。
改めて観ると、「舞い上がる」なんてレベルじゃなかったですね。「狂い出す」レベルでした。
しかしそれは、意味なく「狂い出す」わけではなく、一人ひとりがそれなりに「狂う」理由があったんですね。
それが「台風」というひとつの自然現象によって、増幅され、歪み、表出されていく。
逆にいえば、私たちはそんなわずかな自然現象が起こっただけで狂ってしまうほどの危うさを、誰もが持っているのかもしれない。危ういバランスの上に成り立っている理性や常識が、ちょっとしたことで崩れてしまう。そんな薄氷の上にこの社会はあるのかもしれない。
学校に行きたくない、イタズラしたい、授業中に乱入したい、女の子を襲いたい、雨の中を裸で踊りたい、死にたい…etc.
一見、突拍子もない彼女/彼らの行動は、すべて内面に隠された欲望であり、「台風の接近」によってあらゆる常識というストッパーが外れたのだろう。
台風が通過した朝、何事もなかったかのように学校に行く2人の生徒。
日常とは案外、そんなものなのかもしれない。
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