戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河のレビュー・感想・評価
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戦争に絡めて多様な人間を描くスケールの大きさに驚き
関東軍、新興財閥、陸軍参謀本部、左翼活動家、満洲邦人といった日本人の視点のみならず、国共合作を中核とし中国側の視点も取り込んでいるのが新鮮で驚かされた。
若者の無鉄砲ぶりを見せると共に、単純な善悪論に与せず、例えば理知的に国益から非拡大を唱える財閥系当主(滝沢修演ずる)や参謀本部の思考、言わば大人の論理をも提示しているのに関心させられた。
オールスターキャストで、特に女優陣は皆、印象的。吉永小百合も浅丘ルリ子も栗原小巻も頑張っている感が大で、特に佐久間良子の滲み出る色気と満洲の得体のしれなさを象徴する様な岸田今日子が圧巻。
監督が山本薩夫、脚本が山田伸夫ら、さらに大物というか、撮影が姫田真佐久で、音楽が佐藤勝で、成る程、質が高いのも納得とは思う。
無知ということだが、日活という会社がこんな凄い映画を作っていたことに、自分的には大きな驚き。
これは21世紀の現代の香港と中国だ 80年の時を超えて、戦前の帝国主義の亡霊が現代の中国に乗り移っている
中国共産党と国際的共産主義運動が全て正しい
日本国は全て悪である
そのような共産党史観のみで構成されています
ここを踏まえて本作を観ないと危険です
山本薩夫監督の圧倒的な演出力にたちまち洗脳されます
緻密にリアリズムを積み上げているように見えるのはその洗脳の効果を高めるためです
自分の頭で考えないと全てが事実であると信じ込まされ、本作で描かれた歴史解釈を正しいと洗脳されます
知らぬ間に、この共産党史観が上書きされそれが全てであると思いこまされます
なのに、そうと分かっていても引き込まれてしまいます
危険です
しかし、本作を観ていて思うことは、これは21世紀の現代の香港と中国だ!ということです
80年の時を超えて、戦前の帝国主義の亡霊が現代の中国に乗り移っていると
全てが相似形をなしています
さらに酷く巨大に帝国主義、軍国主義の恐るべき妖怪に、中国共産党がなり果てたのだと気づかされるのです
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