零戦燃ゆのレビュー・感想・評価
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日本の特撮は、零戦と同じ運命を辿ったのです
1984年の公開
零戦をメインの題材にした映画は、もう一つ1966年公開加山雄三主演の「ゼロファイター大空戦」があります
本作でも加山雄三は冒頭登場します
零戦開発の海軍側の主務者として、最新鋭戦闘機の零戦を主人公達に見せる役です
まるでその作品から本作への引き継ぎに登場したかのようで心憎い配役です
1940年の正式採用から終戦に至るまでの5年間で、零戦の位置付けがどう変わっていったのか
それを整備兵とエースパイロットの二人の同期の目を通して描いています
それは同時に太平洋戦争に於ける日本の栄光と敗退の物語そのものとなります
零戦を軸として、それを良く整理して展開されてあり、脚本は手堅くこなれていたと思います
ただ主人公の二人、ヒロインとも演技が駄目過ぎで困惑してしまいました
堤大二郎も橋爪淳も目線すらおかしく目力も無く演技になってすらいません
早見優は可愛いだけでこれも演技以前です
なんら現代と変わらない十代の女性がこのような運命となるのだという共感を得るための配役なのでしょうが、彼女が写るだけで画面の空気は現代になってしまっています
日本生まれでハワイ育ちの女優を配役する何らかの意図があったのかも知れませんが、全く活かせてません
特撮は川北紘一さん
円谷英二、有川貞正、中野昭慶の東宝特撮の系譜に連なる正統なる後継者です
この人が平成のゴジラシリーズの第二作目以降
、平成モスラシリーズ二作、この全ての特撮を担った方です
本作と同年の5月には「さようならジュピター」の特撮も彼の手になるものです
特撮は、過去の東宝の戦争映画の特撮シーンを流用したものが多く、新しく撮影したものは、特撮シーンの四分の一程度の分量ほどでしょうか
大スケールのラジコンを飛ばしているのは、実際の大空を背景にしているので、結構良い出来です
伝統の繰演によるB-29迎撃シーンは出色の出来映えで、東宝特撮の先輩達や、亡き円谷英二も喜んでくれるものだと思います
しかしその他の特撮はどうか?
進化なしです
どうかすると退化すらしています
1960年の「太平洋の嵐」の特撮の方が優れていたかも知れません
2001年宇宙の旅は1968年、スターウォーズは1977年の作品です
そして本作は1984年なのです
一体その間何をしていたのでしょうか?
そして本作の前年1983年にはブレードランナーが公開されていたのです
彼我の差は、太平洋戦争の末期のようになっているのです
戦争映画もSF映画も特撮という意味では変わりありません、同じです
モーションコントロールカメラなどの欧米の特撮技術の革新は本作にはなんら取り入れられていません
本作はガラパゴスになった東宝特撮の伝統芸だけで撮られているのです
1950年代から1960年代の半ばまでの期間、日本の特撮は、世界最高峰を誇り無敵の存在だったのです
それが、まるで本作で描かれた零戦のように次第にライバルに劣る時代遅れの存在になってしまっていたのです
日本の特撮は、零戦と同じ運命を辿ったのです
ラストシーンで零戦が火葬されます
それはまた日本の特撮の火葬であったのかも知れません
本編の美術班が作った実物大零戦のクォリティーが素晴らしいだけに、一層惨めです
情けないです
悔しいです
そういうことから、本作をあまり高くは評価できません
コクピット内部、エンジンの細部、引き込み脚の細部まで精密に作りこんだ零戦の実物大セットのクォリティーの高さに星一つオマケです
特撮の川北紘一さんを責めているのではありません
円谷英二の死後、その技術の研究発展を欧米に求めて来なかった特撮現場全体の責任は確かにあります
しかし欧米の特撮技術への研究と投資を怠り、そして特撮に対する意欲や見通しを持たなかった映画会社やプロデューサーの責任の方が遥かに重いのです
むしろ川北紘一さんは古い残された特撮技術でこれだけの仕事をしてみせたのです
まるで零戦の特攻みたいなものだったのです
本作のラストシーンは日本特撮の敗戦を象徴していたのです
川北紘一さんは、その後平成ゴジラ・モスラシリーズをして日本特撮の復興を推進していくのです
零戦の栄光と影
30年も前の映画にしては、戦闘機の飛行シーンはなかなか。ちょっと場違いみたいな音楽とか、説明的な字幕とか、なるほど ひと昔前の特撮っぽい。でもちゃちい感じはなかった。「永遠の0」とかより、零戦の航空性能が全面に出ててワクワクした。
人間ドラマもわかりやすいし、感情移入しやすい。大和魂とか、神がかってる戦闘機とか、日本のヒロイズムが全面に出てる感は否めないけど…。
真珠湾から終戦までのあいだに、初めのうちは世界最高峰だった零戦も、連合諸国の技術力に追い抜かれていく。それでも零戦を信じ、空へ消えていったパイロットたち。そして彼らの死が、同様な死に場所を求める同胞たちをまた、同じ場所へ導く。それを止めようとする整備士の気持ちが、なんとも胸に響いた。
意外と楽しく見れた
テレビで放映していたので見てみました
登場人物の三角関係とか、戦争以外のストーリーがおもしろかったです
戦闘シーンはちょっとしんどかったですね…
劇中飛行機の設計士が脇役的にでてきましたが、
風立ちぬみたいだな~と見ていました
一緒に見ていた戦争体験者の飛行機乗りの祖父が
熱心に見ていました。おもしろかったみたいです
特撮は見もの
1984年の“東宝8・15シリーズ”。
日本海軍伝説の名機“零戦”の誕生から最期を、若きパイロットたちを主人公に、激動の太平洋戦争を駆け抜ける。
後に平成ゴジラシリーズを手掛ける川北紘一による特撮は見もの。
怪獣映画と違って、より精巧さにこだわった特撮演出が窺える。
ドラマ部分は退屈極まりない。
安っぽい青春ドラマのよう。
真珠湾攻撃に始まり、山本五十六の戦死、戦艦大和の沈没など太平洋戦争の大きな局面を描いてはいるが、いずれもダイジェストに過ぎない。
本来なら一つのエピソードで一本映画が作れる。
今となっちゃ「男たちの大和」「永遠の0」のような何か引き込まれる要素が欲しかった。
演技・演出がくさくて低水準
総合45点 ( ストーリー:50点|キャスト:40点|演出:40点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
フィリピン攻撃を描いた最初の数分を観た時点で、映像と演出の質の低さにひいてしまった。登場人物はわざとらしくて古くてくさい演技だし、試験飛行の墜落の後で設計者に文句を言って突っかかった後で謝罪する場面や、所々に現れるくさい青春劇などかなりしらけた。堤大二郎・橋爪淳の主人公二人の演技は落第。アメリカ軍兵士のやたらと説明的な描き方もひどい。物語も歴史の表面的なことをなぞっているだけ。
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