遥かな時代の階段をのレビュー・感想・評価
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濱マイクのルーツ
情の欠片もない薄情な麿赤兒、嫌味な存在感で暗躍する佐野史郎、重鎮として申し分のない鰐淵晴子に岡田英次、対照的な塚本晋也と杉本哲太の役柄、マイクの妹が前作より目立つ中で南原清隆に宍戸錠の出番は少なめ、マイクの愛車であるナッシュ・メトロポリタンが真夜中には霞んでしまう、ドラマ版での40クラウンの方が個人的には好み、危ういファンタジーとメランコリックな雰囲気が印象的な世界観で『我が人生最悪な時』は日劇で公開されている現実と非現実が入り乱れた不思議な感覚がまた面白い。
白い男との対決シーンでビビりマクる濱マイクの姿がドラマ版の「1分間700円」で浅野忠信と対峙した時と変わらない、そんな不完全で人間味溢れ格好良くてコミカルな三枚目を演じた永瀬正敏の濱マイク像が前作同様に魅力的、エンディングに流れる曲には萎えてしまうガッカリ感は否めない。
拝啓・白い男様‼️
昭和なのに隅々までがお洒落
カメラ目線で『俺の名前は濱マイク、本名だ。』
のっけからのこのセリフにシビれて、濱マイクワールドにいきなりハマります。モノクロの第一作からカラーになり、より昭和感、よりヨコハマ色たっぷりです。警察やヤクザも手を出せない伝説の男との暗闘を縦軸に、マイク兄妹を捨てたストリッパーの母親との再会と確執を横軸にしたストーリーは、ウェットで情緒的な描写が多いけど、とても面白く最後まで引き込まれます。一件落着した後のマイク親子のエピソードも幕切れとしてスッキリします。役者では、鰐淵晴子の甘くも腐臭を放つストリッパーとかつての愛した男に寄り添う恋人、慈愛溢れる母親とを微妙に演じ分けているのには感服しました。永瀬正敏は、ますます濱マイク役に同化していくようで魅力的ですね。
昭和、レトロ、エモい。
ハードボイルドは難しい
やっぱりカラーがいい
濱マイク2作目
30周年記念4Kデジタルリマスター上映にて観賞。
濱マイクの映画2作目ですが前作より格段と良くなった。
前作のコメディタッチが薄くなりクール度が増した。
今回は、濱マイクの出生の秘密が明かされたり、超常現象的な演出があったり、
昔ながらの、映画館や喫茶店、パチンコ屋や銭湯など、古き良き時代が映され、
すっかり引き込まれて観てました。
残念だったのは「キネマの屋根裏」が流れなかった事、エンドロールのアイドルみたいな曲は、いただけない…
あと、ナンチャン自身はキライじゃないが、ナンチャンの演技はコメディタッチが強くなるので、キャスティングに疑問…
評価は、3.5と4の間で厳しめ3.5、100点満点で70~75点ぐらい。
3作目が楽しみで、その後は、観てなかったドラマ版も観る予定(笑)
偉いこっちゃ、グラマーな鰐淵晴子はんがストリッパーで参上。
それどころかフランソワーズ・モレシャン、岡田英次、坂本スミ子など往年のスターが、
ゾロゾロ出て来るのが懐かしい。
話も戦後のどさくさを生き延び、
警察もヤクザも手出しできない闇の横浜を牛耳った男の生き様とマイク家族のと繋がりだ。
その男が白い男なんだけれど、
その男とマイクのロシアンルーレット後の最後の空撃ち場面が、
遠景過ぎて真意が読み難かったのが残念だ。
それにしても、古い映画だし、設定も古い。
それに時代がスリップするので若者には分かり難いだろう。
これは映画の懐メロなんだ。
そんなレトロなアナログのゆったりした人間関係が切ない。
父も母も知らない妹が…
何とか大学を卒業してもらいたい。
そんな事もあって、
横浜にはカジノは絶対反対の不用だったのですね。
次は3部作最終章、観るしかない。
(^○^)
探偵・濱マイクの活躍を描いて人気を集めた、
林海象監督による「私立探偵濱マイク」シリーズ3部作の第2弾。
本業である探偵稼業は冴えない仕事ばかりの日々が続く濱マイク。
そんなマイクと妹の茜の兄妹を捨てたストリッパーの母親・リリーが突然、黄金町に戻ってきた。
一方、アジア系外国人が中心となっている裏組織「黒狗会」の内部では、黄金町の「川」の利権をめぐるいさかいが巻き起こっていた。
しかし、川の利権の裏には黒狗会組長の神野すら手出しすることができない「白い男」という謎の男の存在があった。
永瀬、南原清隆、宍戸錠、佐野史郎、塚本晋也、
鰐淵晴子ら前作から出演するキャスト陣に加え、岡田英次、杉本哲太、坂本スミ子らが顔をそろえる。
2023年に濱マイク30周年記念企画として4Kリマスター版上映。
鰐淵晴子が色っぽかった
探偵度は低め
街の記憶の物語
川にまつわる都市伝説の映画である。
横浜の旧市街地、盛り場は大岡川と中村川という2本の川ないしは運河に囲まれている。中村川は1989年にベイブリッジができた際に橋から伸びてきた高速道路に覆われる形となり景観を失った。一方、大岡川は横浜港から桜木町、野毛、日の出町、黄金町と遡るかっては水運で栄えた川である。しかしながら港湾機能の変化や河川の整備に伴いこの映画の時代にはすでにその役割は終わっていた。映画で描かれているような川の利権が巨大な富を生むことはすでになくなっていたのである。
単純に横浜における古い世代と新しい世代の対立を描いているわけではない。時間の軸がねじれている。そもそも登場人物がどの時代に生きていると自覚しているのかもはっきりしない。映画の中で宍戸錠が「戦後10年もたつのに何も変わっちゃいねえ」とつぶやくが10年どころか映画の中ではランドマークタワーも大観覧車も映っているのである。
そうこの映画ではほぼ現代の横浜(とはいえそこから30年近くは経っているが)を舞台にして、そこに街の古い記憶が流れ込む不思議な時間感覚を体験できる。その記憶とは例えば白い男の周りに立ち込める戦後の焼け跡の光景だったり、白いメリーさんだったりする。もっとも白いメリーさんは90年代初頭まで目撃証言があるので(私も見たことがある)この映画の撮影タイミングではリアルタイムの風景だったのかも知れないが。
濱マイク自体が日劇横浜の二階に事務所を構える横浜の都市伝説的な人物設計である。このシリーズは古い記憶と古い伝説を持つ横浜という街の物語でありそこがバックボーンとしてしっかりしているからドラマとしても魅力的であるのだと思う。
いつの時代に観てもかっこいい⭐️
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