「『百年の孤独』を期待して見ないほうがいいかも」さらば箱舟 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
『百年の孤独』を期待して見ないほうがいいかも
生と性の深淵に迫る力強い原作の筆致が寺山修司特有の繊細で計算尽くなインテリジェンスに取って代わられているためイマイチ迫力に欠け、監督の作家性だけがひたすら空転していた印象。ガルシア=マルケス作品の映画化、というよりは寺山修司映画の集大成といった趣なので「えっ!あの『百年の孤独』が映画に!?」みたいな気持ちで鑑賞すると肩透かしを食らう。とはいえ『百年の孤独』を原作としている以上、作品世界をじっとりと隙間なく覆い尽くしていたあの熱気がまったく感じられないというのはやはり物足りない。知的な小細工はもうお腹いっぱいだよ〜という気持ち。
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