ごろつき(1968)のレビュー・感想・評価
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ファンサービスに徹した意欲作でしたね。
丸の内TOEIさんにて「没後10年 高倉 健 特集 銀幕での再会」(2024年11月7日~22日まで)19作品上映中。本日は『新幹線大爆破』(1975)、『ごろつき』(1968)の二本を鑑賞。 『ごろつき』(1968) 共演に菅原文太氏、監督は名匠マキノ雅弘氏と豪華。 高倉健氏の任侠映画の1作で我慢に我慢を重ねてラストは単身日本刀を携えて殴り込むパターンは踏襲しつつ、ボクシング経験もある健さんが当時ブームのキックボクシングに挑戦したり、アルバイトで「流し」に従事し、文太さんの伴奏で『網走番外地』や『唐獅子牡丹』を歌い上げたりとファンサービスに徹した意欲作でしたね。
高倉健 復讐ものの快作
高倉健と菅原文太というあまりにも豪華なスター共演作。 ささやかに積み上げてきた人間関係を悪意や権力によって破壊された高倉健が復讐の鬼と化す、というお決まりの展開ではあるものの、前半のヒューマンドラマがあまりにも人情味溢れる豊かなものであるだけに、後半の復讐譚との落差が際立っている。 遠い故郷の家族、上京初日の窮地を救ってくれたテキ屋の大将、ボクシングジムの厳しくも優しい面々、気さくな新聞配達の少年、そして自分を兄貴のように慕ってくれる菅原文太。ふだんの高倉健ならそういった温情に対しても常に一定の距離感を取ろうとするのだが、本作の彼は純朴で素直だ。彼らの優しさに応えるべく一所懸命に奮闘する。 しかしプロキックボクサーの夢と恩人である大将への恩返しがいよいよ成就しかけたかと思ったそのとき、ヤクザの悪意がふいに高倉健の人生を塞ぎにかかる。新聞配達少年の死に始まり、テキ屋の大将や菅原文太の命も奪われる。 眼前の理不尽に高倉健がいよいよ怒りを爆発させる。ボクサーの夢を諦め、たった一人でヤクザのアジトに突入。彼の和室を跨いだ大立ち回りはいつもながら感嘆してしまう。カンフーめいたドタバタ劇に落ちぶれてしまいそうなくらい現実味のないアクションが連続するのに、その渦中にあっても彼の立ち振る舞いにはなお武士の風格が備わっている。 良くも悪くも他者に対する垣根が低いことによって成立する昭和的人情なるものが、実のところ無慈悲な他者侵犯をも厭わないヤクザ的略奪思想と紙一重であることを見事に描き切った快作だった。
あんまりごろつきじゃない
健さんと文太が、炭鉱夫をやめてキックボクサーを目指して上京する。住む場所もなく浮浪者同然の生活に陥りごろつき呼ばわりされるのだが、ただの貧困層というだけでたいへん真面目で誠実な性格なので、大してごろつきじゃないな~と思った。歌もとても上手だった。 キックボクシングの試合や殴り込みなどアクション、恋も含めて見せ場たっぷりのエンターテイメントだった。 大阪、新世界東映のオールナイト上映で見たのだが、あらすじを先に全部しゃべってしまうおじさんがいたり、そこらじゅうでタバコを吸っている環境も含めてとてもスリリングだった。 寝ている人に対する配慮か、音声は若干小さめだった。
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