劇場公開日 1968年10月12日

ごろつき(1968)のレビュー・感想・評価

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4.5高倉健 復讐ものの快作

2022年7月7日
iPhoneアプリから投稿

高倉健と菅原文太というあまりにも豪華なスター共演作。

ささやかに積み上げてきた人間関係を悪意や権力によって破壊された高倉健が復讐の鬼と化す、というお決まりの展開ではあるものの、前半のヒューマンドラマがあまりにも人情味溢れる豊かなものであるだけに、後半の復讐譚との落差が際立っている。

遠い故郷の家族、上京初日の窮地を救ってくれたテキ屋の大将、ボクシングジムの厳しくも優しい面々、気さくな新聞配達の少年、そして自分を兄貴のように慕ってくれる菅原文太。ふだんの高倉健ならそういった温情に対しても常に一定の距離感を取ろうとするのだが、本作の彼は純朴で素直だ。彼らの優しさに応えるべく一所懸命に奮闘する。

しかしプロキックボクサーの夢と恩人である大将への恩返しがいよいよ成就しかけたかと思ったそのとき、ヤクザの悪意がふいに高倉健の人生を塞ぎにかかる。新聞配達少年の死に始まり、テキ屋の大将や菅原文太の命も奪われる。

眼前の理不尽に高倉健がいよいよ怒りを爆発させる。ボクサーの夢を諦め、たった一人でヤクザのアジトに突入。彼の和室を跨いだ大立ち回りはいつもながら感嘆してしまう。カンフーめいたドタバタ劇に落ちぶれてしまいそうなくらい現実味のないアクションが連続するのに、その渦中にあっても彼の立ち振る舞いにはなお武士の風格が備わっている。

良くも悪くも他者に対する垣根が低いことによって成立する昭和的人情なるものが、実のところ無慈悲な他者侵犯をも厭わないヤクザ的略奪思想と紙一重であることを見事に描き切った快作だった。

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因果

4.0あんまりごろつきじゃない

2012年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 健さんと文太が、炭鉱夫をやめてキックボクサーを目指して上京する。住む場所もなく浮浪者同然の生活に陥りごろつき呼ばわりされるのだが、ただの貧困層というだけでたいへん真面目で誠実な性格なので、大してごろつきじゃないな~と思った。歌もとても上手だった。

 キックボクシングの試合や殴り込みなどアクション、恋も含めて見せ場たっぷりのエンターテイメントだった。

 大阪、新世界東映のオールナイト上映で見たのだが、あらすじを先に全部しゃべってしまうおじさんがいたり、そこらじゅうでタバコを吸っている環境も含めてとてもスリリングだった。

 寝ている人に対する配慮か、音声は若干小さめだった。

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吉泉知彦