「子供の冒険・夢物語のゴジラワールド。青い海と空が残るのは夢の怪獣島だけ。 監督:本多猪四郎、特撮:円谷英二、製作:田中友幸、脚本:関沢新一 黄金メンバーの最後の明るい東宝特撮映画品」ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
子供の冒険・夢物語のゴジラワールド。青い海と空が残るのは夢の怪獣島だけ。 監督:本多猪四郎、特撮:円谷英二、製作:田中友幸、脚本:関沢新一 黄金メンバーの最後の明るい東宝特撮映画品
前作「怪獣総進撃」で打ち止めとなるはずだった東宝怪獣映画ですが、
その予想外の大ヒットを受けて作られたオールスター怪獣映画。
円谷英二の名前がある最後のゴジラ映画で、監督:本多猪四郎、特撮:円谷英二、製作:田中友幸、脚本:関沢新一という黄金のメンバーによる明るい作品も本作で見納めとなり、次作ヘドラからは暗い時代がはじまります。
ゴジラシリーズが真っ青な海と空の南の島を舞台にしていた間に、高度成長期を迎えた日本はすっかり変わってしまい、日本に戻ってきたら、冒頭から、川崎の工場地帯の灰色のどんよりした空、工場の煙突からもくもくと煙が吐き出され、道路はダンプカーも群れが爆走している現代社会。
ストーリーは、子供が主役のファンタジーである成長物語で、ゴジラシリーズでは異色です。
怪獣の登場する特撮シーンが、すべて少年の空想であり、その多くが旧作のフィルムの流用であることから一般のファンやマニアからの評価は低かったのですが、近年”子供向けのファンタジー”として再評価の向きも。
佐原健二、天本英世、堺左千夫、田島義文などなど、おなじみのベテラン俳優さんたちの出演が楽しく、全体のトーンも明るく健全で、まだ「明るく楽しい東宝映画」としての”品”はあるちゃんとした映画です。
音楽も、コミカルな曲もあったウルトラQ、ウルトラマンの宮内國郎で、ゴジラの伊福部昭のクラッシック音楽ではなく、ジャズをベースにした明るい曲の構成になっています。
家庭にビデオも無い時代に、「怪獣総進撃」並みにせいぞろいした怪獣たち+新怪獣のそろいぶみの「新作怪獣映画」に、わくわくしないわけがありません。(大多数の子供には、ライブ使用だなんてわからなかった)
しかも、私も含めて、通学路の看板やポスターを眺めるだけの子供が大多数で、実際に怪獣映画が観れる子供なんて、ごくごくごくごく少数でした。
'60年代、最後の夢の怪獣映画を、その時代の空気ごと、まさに童心に帰って楽しもう!