神戸国際ギャングのレビュー・感想・評価
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高倉健のファンなら、本作を観てないのはちいと肩身が狭いと思います
1975年10月公開 高倉健主演作品 同年7月公開の「新幹線大爆破」の次の出演作品になります そして本作が、高倉健の東映専属俳優の最後の作品です 昭和30年代のギャング映画のようなタイトルで、暗黒街シリーズのような内容を思わせますが違います 本作は「仁義なき戦い」と同じ実録ヤクザ映画なんです 神戸国際ギャングというのは、港町神戸のイメージでつけられたタイトルのようで、この名前は実在のものなのです 高倉健が演じた主人公、団正人にも実在する人物のモデルがいて、本作の物語も破天荒過ぎるようで終盤のダイヤ争奪戦と最終決戦以外はほぼ実話に沿っています そのモデルの人物の組織が人呼んで国際ギャング団なのです 国際といっても、中国人、台湾人、朝鮮人です さらに進駐軍ともドンパチやらかします お洒落な服装、セントルイスブルースはその実在の人物の特徴からの由来です 興味のある人は、菅谷政雄という名前を各自でお調べ下さい 見所はふたつ まず高倉健と菅原文太との共演です まるで仁義なき戦いに高倉健が出演したかのような夢の取り合わせです 時代もほぼ同じ 広島弁の代わりに神戸弁が縦横無尽に飛び交います ダボ!(馬鹿) 高倉健の神戸弁はまるでネイティブでした 戦後すぐ、三宮から元町の間の今のJRの高架下に在った闇市が主な舞台です 傍若無人、簡単に人を殺して後悔しない高倉健は本作くらいでしか観れません ふたつ目は、高倉健の濡れ場シーン いきなり序盤にあります 台本どおり演じたものの本人から本編からカットを要求したシーンだそうです しかしそのまま公開されてしまい、高倉健が東映を去る原因となった曰わく付きのシーンといいます 監督は田中登 日活の監督で、ロマンポルノでの演出力の高さで名をあげて神代辰巳と並び称された人物 その腕を見込まれて東映が本作に招聘したものです 高倉健と菅原文太の二大スター出演の映画の監督に他社の監督にやらせる位なんですから、その腕は相当なものです 本作でも凝ったカットも多く、テンポよく観れる作品になっています 高倉健のファンなら、本作を観てないのはちいと肩身が狭いと思います もうすぐ1月17日 本作の焼け野原の神戸はあの震災を思わせます
神戸の戦後復興を観て元気が出た
神戸震災復興20年ということで、連日テレビから流れる被災者の方々の声。 重くて不条理で希望のみえない空気を打破すべく鑑賞してみると、本作も戦後の復興時期という時代設定。 テレビは被災者の方々の辛い気持ちを吐露する特集を流すばかりだが、こんな娯楽作を流してみるのもまた一興ではないか、いや、神戸の方々がいまこれを観てなんというか伺ってみたい気もするが、 こんな作品をみて案外元気が出るのではないか?などと考えながら引きこまれていった。 東映任侠ものでスローモーションて観たことないが、 (もちろん任侠路線にこの映画が分類されるかはさておき) 映像手法とかも手探り感がそこかしこに出ていて楽しめる。 血糊も多用しているが、そんなに残酷な描写も多くはない。 多いのはむしろエロ・コミカルな演出で途中何度も声を出して笑ってしまった。 ラストシーンのダイヤを抱いて自爆するシーンなど叙情的ではないか。 駄作、凡作と言われているが、自分にとっては興味深いプロットも多く楽しめた。 なにより最近亡くなられたばかりのスターたちに多く会える作品。
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