現代やくざ 人斬り与太のレビュー・感想・評価
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これは隠れた名作かも。
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この映画は、日本映画の転換点となった『仁義なき戦い』シリーズの直前に製作された。
それまでのヤクザ映画は、華やかな義理と忠誠、そして気高いアウトローの物語としてロマンチックに描かれてきた。
そして、この作品が生まれた。
むき出しの醜悪で、生々しく、そして人間味あふれる映画だ。
最初のシーンから、主人公は完全なろくでなしだ。卑劣で、衝動的で、共感のしようがない。
それでも…目を離せない。
説明しようがないが、引き込まれる。
この男は「善」でも「悪」でもない。
彼はただ狂っている。
そして不思議なことに、唯一しっくりくる瞬間、いや、むしろ満足感さえ感じられる瞬間は、彼の狂気が避けられない終焉を迎える瞬間なのだ。
映画として成立するはずがないのに、成立してしまう。
混沌と残酷さ、そして魅惑的な世界。
深作欣二のような天才だけが、この狂気をこれほどまでに力強いものに変えることができた。
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