黒いドレスの女のレビュー・感想・評価
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「マルガリータ」
もう本当に酷い。カーチェイスは緩慢、アクション/ダンスのカットバックはしつこい、人物関係は錯綜をきわめる。作品としての力点が定まらないまま惰性で走りきってしまったような映画だった。
『月はどっちに出ている』ではポップな群像コメディを通じて在日アイデンティティ問題を炙り出す手腕を見せつけた崔洋一だが、本作のような明らかなハズレがあるので評価するにもしづらい。
せっかく菅原文太とか成田三樹夫みたいなただそこにいるだけで勝手に文脈ができてしまう俳優を起用しているんだから、彼らにすべてを投げっぱなしにしてしまうほうが面白い画が撮れたはず。
終盤の「実はアタシが犯人だったんです」「何だと?バカヤロウ、俺も一緒に死んだる」みたいな湿っぽい昼ドラ展開は本当に勘弁してほしかった。
ただ、冒頭だけは本当にいい。黒いドレスを着た原田知世がおもむろにバーを訪ねる。慣れない仕草でタバコに火をつけ「マルガリータ」と一言。レモンで塩をつけたグラスにチョロチョロと注がれるリキュール。それを嗜みながら「私を雇ってください」。いや、ほんとにこれでいいんだって。
下手なサスペンスに逃げず、こういう薄っぺらいハードボイルドを貫徹してさえくれたならば、タランティーノとは言わぬまでも初期の石井克人的な爽快活劇が出来上がっていたのではないかと思う。
うわ~~つまらん。
原田知世は可愛かったが、ハードボイルドとしてはやや微妙
本作はハードボイルドとミステリー系サスペンスとアイドル映画が融合したような内容になっていましたが、正直どの分野ももう一声欲しかったような内容で、中途半端感は否めずって感じでしたかね。
80年代邦画には詳しくないので、当時この映画がどのように評されたのかはよく知りませんし、今見て語るには時代背景も考慮しなければいけないのでしょうが、何か雰囲気だけハードボイルドって感じで、少々物足りなかったかなと・・・。
やはりそこは当時の角川映画の看板女優であった原田知世主演であることが良くも悪くも影響していたでしょうか。
間違いなく原田知世の可愛さは満喫できる映画だったんですけどね、それであるが故に作品の方向性がよく分からない方向に向いてしまい、結果見終わっての満足感はもう一歩と言った感じに・・・。
おそらく原田知世を大人の女優へと成長させる為にこの作品に主演させたのでしょうが、さすがにこの内容を演じるには年齢的な部分も含めてミスマッチ過ぎでしょう。
黒いドレスを着たミステリアスな女と言うには、いくらなんでもねぇ(苦笑)
まあディスコで踊ってるシーンとか、スクール水着っぽい姿でプールで泳いでいるシーンなんかは個人的にはツボだったりで、アイドル映画の部分では結構満足してたりもするんですけどね。
ただもう少し永島敏行を女の魅力で困らせるぐらいの色気があれば・・・。
着物デートでは、いくらなんでも(あれはあれで面白かったですけど)
しかし終盤、彼女が身を隠していた?アパートが普通に分かったのは物凄い突っ込みどころだったなぁ。
ミステリーな部分も、2時間サスペンス風な感じで正直微妙・・・。
エロオヤジ役の橋爪功が妙にフィットしていたのは印象深かったですけど(笑)
まあそんな中でも昔気質なヤクザ役の菅原文太が圧倒的な存在感を発揮して、一応物語を締めてはいましたね。
もう少し彼のバックボーンを描いてくれたら、話ももっと盛り上がった気がするのですが。
逆に刑事役の成田三樹夫は、ヤクザにしか見えなかったなぁ。
と言った訳で、原田知世の可愛さと永島敏行&菅原文太の存在感は堪能も、全体的にはやや微妙な印象が残った作品でした。
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