狂った果実(1981)のレビュー・感想・評価
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アリスの狂った果実
パトロンと一晩を過ごし、帰りの駐車場でオナニーしている哲夫を見かけた千加は、彼と別れた後、哲夫を車に誘いいれる。あっけないレイプ。挿入する前に出てしまったように見えた(笑)
その後は千加に振り回される哲夫。「レイプ魔の哲夫くーん!」なんてスタンドの前でふざける知加のために、客の車をぶつけ店長とケンカして失職。やりきれない思いは夜の職場ピンサロで爆発。アニキ分に代わって警官に追われる。その後はなんとなく千加と楽しげにデートしたかと思ったが、実家に連れていかれ、パトロン=養父との関係を知加に聞かされ、後に脅してみたりする。そのうち千加の遊び仲間に紹介されるが、彼らは哲夫の勤めるピンサロへと乱入する。たまたまアニキが留守のときだったため、高額を請求されると暴れ出し、アニキの妻(永島)を流産までさせるほど暴力沙汰。なぜか控室でまた千加をレイプした哲夫。こんな状況でも勃起する若さ・・・
怒ったアニキは逆に殴り込みに行く。もちろん哲夫も包丁を持ってついていくが、二人は逆にボコボコにやられ始め、包丁を取りだし修羅場と化す。
アリスの「狂った果実」をヒントに作られた映画。もちろん最後にはテーマ曲も流れるが、これがまたピッタリくるのだ。精神的なカタストロフィを迎え、人生の再生不可能になるかのような展開は凄い。何事もなかったかのように日課のランニングを始めるが、そこにはパトカーが待っている!なんてエンディングも心地よい。なぜロマンポルノとして作られたのかが疑問に思えるくらいにATG色の強い秀作。
熟しきらぬ果実
Blu-rayで鑑賞。
原案曲(アリス「狂った果実」)は聴いたことがあります。
初めて観た「日活ロマンポルノ」が本作でした。
己を持て余した熟しきらぬ果実が、人生のもどかしさに悶えながら自己の存在を追い求め、彷徨し、ぶつかり合う様が過激な性描写とバイオレンスを交えて描かれていました。
コケティッシュな魅力を放つ蜷川有紀が、その均整の取れた肉体を惜しげも無く披露し、エロティックな中に、刹那的な快楽を貪るような、哀切に満ちた濡れ場を演じていました。
若者たちが、満たされない心を埋めるように体を求め合い、破滅していく姿を、当時の空気感を捉えながらエモーショナルに描いた根岸吉太郎監督の演出が見事でした。
※修正(2023/02/14)
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