首(1968)のレビュー・感想・評価
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首を運ぶところが良かった
・警察の不正を隠蔽するため一般市民が犠牲になった話だった。当時だと衝撃だったんだろうと思った。今だったら司法の腐敗って感じでこんなこともあるんだろうって印象だけど、今だと当たり前に感じられた。正木弁護士の使命感だけが救いだった。
・唯一の証拠のための司法解剖のために、首を切って持ってくればいいよってさらっと解剖医?の一言から首を持って帰るところまでが良かった。首を切る男のやる気のなさが電車でのシーンで活きて、とても面白かった。確かに、電車の手荷物検査でこのバケツには生首が入ってますって言って、何だと!出せ!とはならないよなっていう感じ。前半は会話劇が多くて、長い振りだったんだと納得できた。最後に空襲で首が焼けてしまったというのが何ともいえない感じだった。
権力に立ち向かう弁護士の気骨と妄執
DVDで鑑賞。
原作(弁護士)は未読です。
北野武監督の「首」とは全く関係ありませんが、同じタイトルの本作に興味が湧いたのでDVDを購入して観ました。
これが実話なのだから恐れ入る。戦時中なんて権力の横暴が顕著だし、それに立ち向かって勝ってるんだから驚きました。
恐らく脚色が施されているのでしょうが、腐乱へのタイムリミットがサスペンスを呼び込んでハラハラさせられました。
気骨ならではの熱意が次第に首への妄執に代わり、まるで取り憑かれているかのような小林桂樹の演技に圧倒されました。
この演技が「日本沈没」の田所博士に繋がるのかなと、監督と脚本の組み合わせが同じなだけに連想してしまいました。
大滝秀治博士の解剖学講義
茨城の炭坑夫が賭博容疑で収監中に死亡した事件を、小林桂樹扮する弁護士が追求していく。弁護士の執念はやがて妄執になっていき、とんでもない行動に出る。弁護士本人の手記が原作らしいが、なかなかすごい人がいたものである。
非道と不条理がまかりとおっていたであろう戦時中に、こんな真正面から権力に立ち向かった人たちがいたことにまず驚いた。同様の案件は多々あったろうし、大半は不問に付せられていたに違いない。
野外で、しかも遺族の目の前で死体の解剖をするのには、仰天した。今ではさすがにあんなことはしないだろうけど。執刀医役の大滝秀治はまだ枯れる前で若く、憎々しげな冷血漢を演じていた。
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