「この世から逃げてあの世はない」空海 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
この世から逃げてあの世はない
空に問う、海に聞け、そして未来に燃えよ。
初鑑賞
1984年(昭和59年)公開作品
コアラとエリマキトカゲとチェッカーズがブームになった年
ロサンゼルスオリンピックの年
邦画では伊丹十三初監督作品『お葬式』が公開された年
アニメ映画では『風の谷のナウシカ』『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』など
洋画では『ゴーストバスターズ』『グレムリン』『ポリスアカデミー』『スパルタンX』など
真言宗の開祖空海が入定してから1150年の記念事業
真言宗では空海はまだ生きていると信じられているらしい
空海が今も住んでいるとされる高野山・奥の院には一日二回食事を運ぶ儀式が1200年近く続けられている
人聞きが悪いが映画会社にゴリ押しして作らせた179分の大河作品
真言宗は50年ごとに記念イベントを開催するらしくその一環
真言宗の力で興業的には大成功
監督は『幹線大爆破』『君よ憤怒の河を渉れ』『野性の証明』『敦煌』『北京原人 Who are you?』『男たちの大和』『桜田門外ノ変』の佐藤純彌
脚本は『天国の駅 HEAVEN STATION』『きけ、わだつみの声 Last Friends』『北京原人 Who are you?』『千年の恋 ひかる源氏物語』の早坂暁
空海が少年の頃から始まり留学生として遣唐使に乗り厳しい荒波を渡り唐・長安において密教を学び悟りを開きそれらを日本に持ち帰り高野山にて入定するまでの話
20年の予定で唐に渡り2年で帰国した空海に北大路欣也
唐に渡り特例で一年で帰ってきた最澄に加藤剛
娘を帝の後宮にすることによって権力を握った女官・薬子に小川真由美
空海の母・玉寄に上月左知子
空海と共に唐に渡り帰国した橘逸勢に石橋蓮司
出世街道まっしぐらの遣唐使・藤原葛野磨に成田三樹夫
唐で30数年巻物を写していた日本人僧・永忠に菅貫太郎
空海が初め親しくなる僧・悦々に室田日出男
房女に真行寺君枝
桓武の息子であり平城天皇に中村嘉葎雄
平城天皇の弟でのちの嵯峨天皇に西郷輝彦
空海の父・佐伯田公に西村晃
桓武天皇に丹波哲郎
空海のおじ・阿刀大足に森繁久彌
土木工事には直接参加せず護摩を焚く空海
菊池寛原作『恩讐の彼方に』の主人公である坊さんは先頭になって隧道掘りに勤しんでいたことを思うと複雑な気持ちになる
『天国の駅』でもそうだったけど中村嘉葎雄がまたしても情けない役
帝なのにみっともない
萬屋錦之介の弟なんだけどな
真行寺君枝が若く綺麗だ
ラストは現代(1984年頃)
北大路欣也と室田日出男と真行寺君枝が昔ながらの巡礼姿で集団に混じり歩いている
空海が今もなお生きていることを表現したのだろう