「大人になるとは、世の中の醜さを知ることか」キューポラのある街 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
大人になるとは、世の中の醜さを知ることか
クリックして本文を読む
"キューポラのある街" シリーズ第1作。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
爽やかな青春モノを想像していると全く違っていて、当時の世相を反映した少し暗めの社会派な作風に面食らった。
町工場群の煙突の煙がモクモクと立ち込め、川の水は汚れ、「青春の輝き」からは程遠い街で生きる主人公ジュン。
思春期の多感な少女であるジュンが、貧困や差別に直面し、社会の醜さや厳しさを知り(身も心も)大人の階段を登る。
暗い作風の中に光る、吉永小百合の瑞々しい存在感に魅せられた。健気で逞しさもあるジュンが成長していく様を、単に若さで乗り切るだけの演技でなく、少女から自立心溢れる女性へ脱皮する瞬間の繊細な心の動きまで巧みに表現する名演であった。相当監督に絞られた末の完成度ではないかと想像する。
コメントする