傷だらけの山河のレビュー・感想・評価
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資本の凶暴さや資本家の横暴を描いている
山本薩夫さんが監督、新藤兼人さんが脚本のかなり硬派な物語。
鉄道会社グループによる沿線開発を主な題材としながら、資本の凶暴さ、資本家の横暴さを余すところなく描いている。
主人公のモデルは、五島慶太さんとか堤康次郎さんのミックスなのでしょう。
妾の悲哀、私生児の鬱屈、実子の苦しさ、婿の辛さなど、私生活の陰のお話しが盛り沢山。
主人公の鉄道会社会長を演じた山村聰さんが、ふてぶてしく常軌を失しているとも見える素晴らしい演技を披露。
それと対決する資本家を演じた東野英治郎さんも善き。
若尾文子さんは、山村さんが強引に夫から引き離して四号さんにされる人妻役。
色々と凄まじい物語でしたけれど、見応えがあって面白かったです。
山本薩夫監督の傑作のひとつ
山本薩夫監督による骨太な大実業家を巡るドラマであり、主演は山村聰と若尾文子。
さすがの山本薩夫監督作で、権力と金・女・策略・弱者との違いを圧倒的に見せつける山村聰は適役。また、若尾文子は(2号などでなく)4号の囲われ女として実業家が「古い妾はもう要らん…」などと言う美貌と若さを備えた女を演じている。
大実業家(山村聰)が権力と金にものをいわせて、妻子がありながら、次々と女をモノにしていく。その一人に若尾文子も入ってくる。第四の女。
そして、家族の中に波風が立ちはじめて、家庭崩壊の危機を迎える大実業家だったが……という面白いドラマ。
大実業家の凄腕をさんざん見せられる様々なエピソードを描いており、2時間32分の大作になるのは必然。
本作のモデルは堤氏なので、鉄道メインに土地買収や駅の決め方など豪腕。
山本薩夫監督作としては、銀行頭取の生き様を描いた『華麗なる一族』に近い感あり。
あまりにも素晴らしい作品なので、観終わってから確認したら、本作は1964年キネマ旬報第7位だった。同年、あの『飢餓海峡』が第5位なので、相当レベル高い年だったのだろう。
初見は2013年、久しぶりの鑑賞だったが、やはり本作、山本薩夫監督の傑作のひとつ✨
<映倫No.13462>
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