風の又三郎 ガラスのマントのレビュー・感想・評価
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ドッドドドドウド
東北の山村。かりんは病弱な母と暮らしていたが、母は療養所に行くことに。そんな時、森の中で彼女は不思議な少年と出会う。彼は、かりんの小学校に転校してきた高田三郎で、つむじ風とともに現れたので、風の又三郎とあだ名される。
だいぶ前に原作を読みました。かりんは、この映画オリジナルのキャラクターと思います。原作の不思議な雰囲気、特に三郎が不思議な力を持っていたのかどうか、という解釈が別れるところ、この作品では持っていたような描かれ方でした。
風を表現した「ドッドドドドウド」は歌になっていました。Eテレの「にほんごであそぼ」で聞き馴染んでいた節とは違っているので戸惑います。
唯一無比のイマジネーション
宮沢賢治の作品は、あらゆるクリエイターを刺激し、
それぞれに、らしきクリエイティブを作らす。
猫の銀河鉄道の夜や、999、たくさんある。
しかし、原石の強度は変わらない。
ますます、賢治の、直に描いた作品を見たくなるという。
この作品は、カリンというヒロインからみた
又三郎スケッチ。
ゆえに、賢治の作品に触れたことなかろう、平成の当時のチルドレンには、格好の入門編になっている。
カリンがジョバンニ、又三郎がカルパネルラにも思えたのは、いささか、勘違いだろうか。
スコセッシは、実は、見ていたのではなかろうか。
あのヒューゴと不思議な発明という
彼の履歴では異色作のお子様ムービーに通じるものが。
オトナの都合で、決して壊してはならないサンクチュアリ。古今東西の映画人は、そういうスピリットではなかったか。
製作当時のバブル日本。
新しいもの優先、それ以外役に立たないものを捨てていく。
女囚さそりの伊藤監督のパンクな精神が、この文科省特選の顔をして、殴りこみだ。
1999年の夏休みのキャメラマンは、従来の日本映画のルックを破って、空気さえも画角にする無謀さがあり、
すごく大胆な作品である。
篠田正浩の少年時代が、型にハマって感動さす作品ならば、これは、はみ出して、記憶の片隅にずっと引っかかってくる、ヘンな作品だ。
外国の子みたいな又三郎と一緒に見た子どもの頃の夢
少年たちの目から見た不思議な転校生の話なのだけど、病弱な母親との生活を引き裂かれそうになる少女の視点が中心になっている。そうした孤独と寂しさに又三郎や他の賢治の物語が挿入的に織り込まれて賢治作品の絵巻物っぽくなっていて興味深い。
又三郎と父はより異邦人的な雰囲気に演出されたのも面白い。
冒頭の「風」がやってくるシーンはとても良かった。
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