「唯一無比のイマジネーション」風の又三郎 ガラスのマント 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)
唯一無比のイマジネーション
宮沢賢治の作品は、あらゆるクリエイターを刺激し、
それぞれに、らしきクリエイティブを作らす。
猫の銀河鉄道の夜や、999、たくさんある。
しかし、原石の強度は変わらない。
ますます、賢治の、直に描いた作品を見たくなるという。
この作品は、カリンというヒロインからみた
又三郎スケッチ。
ゆえに、賢治の作品に触れたことなかろう、平成の当時のチルドレンには、格好の入門編になっている。
カリンがジョバンニ、又三郎がカルパネルラにも思えたのは、いささか、勘違いだろうか。
スコセッシは、実は、見ていたのではなかろうか。
あのヒューゴと不思議な発明という
彼の履歴では異色作のお子様ムービーに通じるものが。
オトナの都合で、決して壊してはならないサンクチュアリ。古今東西の映画人は、そういうスピリットではなかったか。
製作当時のバブル日本。
新しいもの優先、それ以外役に立たないものを捨てていく。
女囚さそりの伊藤監督のパンクな精神が、この文科省特選の顔をして、殴りこみだ。
1999年の夏休みのキャメラマンは、従来の日本映画のルックを破って、空気さえも画角にする無謀さがあり、
すごく大胆な作品である。
篠田正浩の少年時代が、型にハマって感動さす作品ならば、これは、はみ出して、記憶の片隅にずっと引っかかってくる、ヘンな作品だ。
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