「やるせなさのパッチワーク」ガキ帝国 K・Mさんの映画レビュー(感想・評価)
やるせなさのパッチワーク
設定の昭和40年代前半を感じるのは劇中の音楽や映画位で、どう見ても1980年頃の若者による魅力的なケンカ映画である。
次作製作の際に、映画会社の偉いさんからいろいろと条件を提示されたようだが、その欠点に見える案件ひとつひとつが本作を面白くさせている事に気づいてないとは…。
本作の扱われ方にしろ、興行の収支しか頭に無い人たちには映画の持つ魅力の何たるかなんて、微塵も考えた事が無いのだろう。
思うようにならない人生に対して残り時間が少ない大人は妥協と諦観に走るけれども、時間を持て余したガキにとっては目に見えるもの全てが邪魔をする敵にしか感じられない。
本作がそれまでの不良映画よりも新鮮だったのは、あまりにも切ない事実の羅列が〈薄汚さ〉を凌駕していることだと思う。
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