怪竜大決戦のレビュー・感想・評価
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怪獣!忍者時代劇! どろんと化け出た面白さ!
東映特撮1966年の作品。
東映特撮で本格的に“怪獣”が登場する初の作品。
登場するのは…
大竜!
大蛙!
大蜘蛛!
大鷲!
四大怪獣大決戦!
時は怪獣映画ブーム真っ只中。まさにド直球!
…と思いきや、基本は東映お家芸の時代劇。
つまり、時代劇×特撮怪獣モノ。
その時代劇も生真面目な時代劇じゃなく、忍者モノ。
ベースは忍者モノの古典と言われる“自雷也”。
登場する怪獣も“三すくみ”から。キャスティング事情でナメクジがクモに変更されているが、どろんと大ガマに化け、大竜はTHE怪獣。
古典忍者時代劇と特撮怪獣映画の忍法“合体”はうってつけであり、贅沢な娯楽味わい。
話は…
悪徳家老と家臣の忍者・大蛇丸の謀反によって無念の死を遂げた城主。
その遺児・雷丸にも刃が向けられるも、ガマ道人が遣わした大ワシに助けられる。
ガマ道人の下で忍術を学び、立派な若者に成長。
が、かつてガマ道人の弟子でもあった大蛇丸の手により師は殺される。
死の直前、出生や素性を打ち明け、“自雷也”と名を変え、雷丸の仇討ちの旅が始まった…!
特撮や忍術要素があるのは当然だが、話自体はオーソドックスな仇討ち時代劇。
主演は松方弘樹、仇に大友柳太郎。一本の上々の時代劇映画のような面子。
先述したように、堅苦しい時代劇ではない。
所々特撮技術がチープだったり、アクションが拙かったり、少年漫画的。
でもその分、テンポ良くて飽きはしない。
怪獣決戦は実はクライマックスくらい。
だけど、そこに至るまでの話が単純に面白い。寧ろ、怪獣云々よりこっちの方が面白かった。
童心に返って素直に楽しめたし、ツボを抑えた喜怒哀楽もある。
THEヒーローの雷丸=松方弘樹、悪役=大友柳太郎の存在感、ヒロイン・小川知子の美しさ、百兵衛さんの好助演…キャラもメリハリあって魅力。
確かに天下の東宝にゃあ敵わないが、特撮も頑張った方。特撮を駆使した忍術演出はユニーク。
クライマックスは怪獣決戦でたっぷりの見せ場。
実は見るのは20数年ぶり。その昔WOWOWで、東宝以外の特撮作品特集放送で見て以来。今回、U-NEXTにて。
その昔見た時も普通に面白かった。
今となっちゃあ誰も知らないマニアックな特撮作品かもしれないけど、これが娯楽ですよ、娯楽。
『モンスターズ』はこれを見て勉強しなさい!
金目教のガマがこんなところに
YouTubeの東映チャンネルで偶然発見。初期の「仮面の忍者赤影」の特撮がいやにレベル高い(ミニチュアの屋根瓦が一枚一枚めくれるという東宝ラドンレベルの精巧さ)と思ったらこの映画の使い回しだったのか。というかこの映画が赤影の原点なんだね。松方弘樹、小川知子の美男美女ぶり。大友柳太朗や天津敏の安心して見てられる悪役ぶり。正月休みにノスタルジーにどっぷりハマりながら観れるなかなかの快作であった。
当時、観たかったな
特撮娯楽時代劇と銘打つ一本だけあって、遜色無い内容です。
こういう作品は公開当時の劇場の、でっかいスクリーンで観た時が最高なのだと感じる(私は生まれる前なので不可能ですが)。
あらためて思うのは映画にとって、しっかりした脚本は大切なのだな、と。
その上での、クライマックスの大活劇が活きて来るわけで。
そこに至るまで飽きさせない、演者&スタッフの手腕も見事なものです。
あと、千葉敏郎さんのキャラが良かったと思います。
今日の東映特撮スーパーヒーローは、全て本作を源流としている それほどの重要作品だ!
1966年12月公開
同年7月、東映は二本の特撮映画を公開した
一つは海底大作戦
この作品が東映初の特撮映画だ
しかし特撮レベルは低い
もう一つは大忍術映画ワタリ
東映京都撮影所としては初の特撮映画だ
そして続く本作は東映初の怪獣映画といえる
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘とほぼ同時公開となり競合したのだ
他社はどうか?
大映は同年4月ガメラ第2作ガメラ対バルゴンと大魔神第1作を公開
8月に第2作大魔神怒るを、そしてこの12月には第3作大魔神逆襲を公開している
松竹、日活の特撮怪獣映画は翌年春のギララ、ガッパまで待たねばならない
つまり1966年12月は東宝、大映、そして東映の3社での怪獣代理戦争が既に行われていたとも言える訳だ
翌年1967年の怪獣映画が各社から乱発される前哨戦だったのだ
本作は前作のワタリに作く忍者映画だ
当時は怪獣ブーム以外に忍者ブームでもあったのだ
有名なところを挙げると伊賀の影丸、カムイ伝、風のフジ丸、サスケなどがある
忍者ハットリくんは1966年7月から実写版がスタートしている
現代の世界的人気を誇るニンジャはこの時代に直接のルーツがある
当然忍術シーンを扱う為には実写なら特撮を駆使しなければならない
東映も前作のワタリ製作に際して最新式オプチカル・プリンターやブルーバックスクリーンなどの合成映像機材を導入している
本作はそれらの機材を駆使した合成映像を多用しており、なかなか特撮は頑張っている
怪獣が出現して城が破壊されるシーンのミニチュアセットも大魔神にさほど引けはとっていない
本作を原形として発展したのが、仮面の忍者赤影と言うことになる
本編も楽しく、テンポも演出も良く退屈しない
監督の山内鉄也は当時こそ無名だが、本作以降は、その大人気となった仮面の忍者赤影だけでなく、テレビ時代劇で大活躍を遂げる人だ
水戸黄門、大岡越前、江戸を斬るなどのそうそうたるコンテンツのメイン監督としてテレビ時代劇の形を作り上げた人なのだ
怪獣は四体登場する
水竜、大ガマ蛙、大蜘蛛、大わし
大わしはラストシーンで主人公が飛び去る時だけに登場するので、怪獣が戦うのは残りの3体になる
水竜の形状は銀色であり翼も無く、頭も一つであるが、その頭の形はキングギドラそっくりだ
大ガマ蛙は主人公が児雷也なので当然大ガマ蛙が彼の怪獣になるのだが、大口を開けて火炎を吹き出すのだ
初登場シーンは城の屋根の向こう側から頭を突き出してくる
そうゴジラが山の稜線から頭を突き出すシーンを模しているのだ
そして大蜘蛛はタランチュラの形をしているが、蜘蛛だけに糸を吐いて戦うのだ
ここまで書けば特撮ファンならすぐに気が付くはずだ
これは三大怪獣 地球最大の決戦のオマージュなのだ
キングギドラ、ゴジラ、モスラの戦いをそのまま再現して見せているのだ
素晴らしいサービス精神だ
本作はもっと高い評価を与えられるべき傑作だ
しかし、東映はその後映画では任侠映画をメインにして行くことになり特撮映画は作られなくなってしまう
残念ながら映画では1968年のガンマー3号宇宙大作戦をだすのみで、それも部分的には評価できる部分はあるものの、大した出来だはないものであった
特撮レベルも進化しているとは言えない
東映の特撮はテレビがメインとなり、1967年4月からの二つの番組、仮面の忍者赤影、キャプテンウルトラに継承された
そしてそれは仮面ライダー、スーパー戦隊、メタルヒーローに発展して行き、受け継がれていくのだ
つまり今日の東映特撮スーパーヒーローは全て本作を源流としているのだ
超重要作品だ!
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