女の園のレビュー・感想・評価
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寮生活と学生集会と恋愛の3本がテーマの映画かな、 感動場面もある
1=この女子大学は、良妻賢母を目的とする学校で、規則が厳しい
2=通学は、自宅か、寮に限定し、下宿は禁止
3=寮生の要求は、①研究課題の自由、②寮生自治会の確立、③帰寮時間の緩和、
④私生活の届出制の廃止、⑤手紙・電話の検閲の廃止、⑥消灯後の勉強の許可、
⑦学長渡米の資金割当の撤回、等
4=端的に書くと、手紙は見られるし、電話は聞かれるし、夜10時過ぎたら、勉強禁止は嫌
5=「女の園」の題名から、軟弱な映画と思ったら間違い
6=ただ、要求するだけで傷害事件や、窃盗事件や、刑法事件が発生する訳ではない
7=1954年公開の映画だから、60年安保の走りみたいだが、過激度は1/100以下
8=なお、放映時間の半分位は、恋愛絡み
9=印象深い場面は、
①88分:姫路城の最上階から女が、東京へ行く列車から男が、ハンカチを振る場面
②女学生が合唱する場面=2分、16分、34分、138分
10=この映画、最後に寮生側と学校側で対立するが、結論が出ないまま終了
観覧者に問いかける内容で終了している
11=1955年当時の、女子の大学進学率は、2.4% → 学生は、ほぼエリート
12=感動場面もあった、案外良かった → さすが、木下恵介監督
13=なお、この映画のモデルの事件があったらしい
自由と人権を求めた女性映画の記念碑的な傑作にある、木下監督の強い意思
戦後の日本映画を支えた名匠木下惠介監督の「二十四の瞳」「日本の悲劇」に並ぶ傑作。終戦からまだ10年も経たない時代の閉塞感を背景に、自由と人権を主張した社会派ドラマの力作にして、女性映画としては日本映画の最高峰の一本。高峰三枝子の残忍な寮母役を始め、新しい生活を求める岸恵子の新鮮な魅力、財閥の令嬢ながら家柄に反抗する久我美子の清楚な佇まい、そして男子学生との交際に活路を見出せず自殺してしまう高峰秀子の演技力と、女優陣の充実度が見事。厳しく張り詰めた木下演出と共に、それら人物配置と役割のドラマ展開が無駄なくラストまで運ばれる脚本の完成度が、この上もなく高い。戦後民主主義の過程の中のひとつの時代を知る価値がある。そして、それが分かり易く描かれている主張の明確さ。「二十四の瞳」の抑えた反戦思想に対して、こちらは木下監督の熱い意欲がストレートに映像化されている。名作「二十四の瞳」に隠れて余り話題に挙がらないのがとても残念ではある。
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