劇場公開日 1977年12月29日

「【秋田のめんこい娘と、長崎は平戸の朴訥な青年の恋物語。寅さんが二人を一緒にしようと頑張る姿が印象的な作品。寅さんのアリアと呼ばれる自身の恋を語る独唱が今作でも冴え渡っています。】」男はつらいよ 寅次郎頑張れ! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【秋田のめんこい娘と、長崎は平戸の朴訥な青年の恋物語。寅さんが二人を一緒にしようと頑張る姿が印象的な作品。寅さんのアリアと呼ばれる自身の恋を語る独唱が今作でも冴え渡っています。】

2024年6月1日
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■今作は、秋田から東京に来た食堂で働く娘、大竹しのぶさん演じる幸子と、中村雅俊さんが演じる長崎は平戸出身の朴訥な青年、ワット君との恋物語を軸に、寅さんが頑張って二人を一緒にしようとする中で、ワット君のお姉さん(藤村志保)に恋をする物語である。

◆感想

・若き大竹しのぶさん演じる幸子のほっぺたが少し赤く見える可愛らしさと、そんな彼女に惚れた電気工事が仕事の中村雅俊さん演じるワット君の朴訥な風貌や口調が良き作品である。

・寅さんは、いつものように自分の部屋で下宿しているワット君に、押し売りと間違われ怒っていつものようにとらやを飛び出すが、パチンコ屋で偶々一緒になったワット君と意気投合してほろ酔いでとらやに戻る。ワット君、良い奴である。

・ワット君と食堂で会った寅さんは、自分が惚れやすいからか、他人の恋には敏感であり、すぐさまワット君が幸子に恋している事を見抜き、四角い顔のキューピッドの如く色々と頑張るのである。可なり空回りしたアドバイスだが、ワット君はそのとおりに幸子とデートをするのである。

・今作では、ワット君が純朴であるが故に周りが見えておらず、幸子の母が入院する知らせを受けた直後に食堂でプロポーズしてしまう。で、幸子に振られたと思いガス自殺を図るが、どこか寅さんに似ている気がする。流石に寅さんはガス自殺は考えないだろうが・・。
 それにしても、ガス爆発のシーンは寅さん史上最も派手ではないだろうか。

■寅さんが、ワット君を気遣って平戸に行くシーンも可笑しい。美人のお姉さんが離婚して一人と聞いた途端に、ノコノコとワット君の家に行くのであるから。

<今作は、いつもの山田洋次監督が十八番にしている基本パターンは崩さずに、微妙なところをカスタマイズした脚本よりも、一歩踏み込んだ寅さんがキューピッドになろうとする展開と、ワット君の故郷が平戸であるからだろうか、キリスト教の要素を少しだけ内容に加えた所が新鮮であり、且つ大竹しのぶさんと中村雅俊さんの若いカップルが結ばれるというハッピーエンドな所が爽やかな気持ちになる作品である。>

NOBU