男はつらいよ 寅次郎恋やつれのレビュー・感想・評価
全14件を表示
【”君の自分の信ずる道を選んで真っ直ぐ進んでくれた事を嬉しく・・。”寅さんが吉永小百合演じる夫を亡くした歌子の口下手な文筆家の父を諫めた事で、名優宮口精二演じる父が詫びる言葉がとても沁みた作品。】
ー 今作は、女性の幸せと自立について描いたと作品であると思った作品である。-
■寅次郎は2年前に陶芸家と結婚し、幸せに暮らしていると思っていた歌子(吉永小百合)と旅先の津和野で再会する。
歌子は夫を亡くし、現在はその実家で姑、小姑と肩身の狭い暮らしを送っていた。
寅次郎の励ましを受けたた歌子は、しばらく“とらや”で過ごすことになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半は、旅情豊かな温泉津温泉での寅さんの儚い夫が家を出たまま帰って来ない夫人への想いを描いている。蒸気機関車が煙を出して走る姿が一層哀愁を帯びて見える。
■だが、今作の見所は後半である。歌子の夫が病で亡くなった時もハガキ一枚だけ送って来た父との確執に悩む歌子の姿を見て、漢、寅次郎は文筆家の歌子の父の家へ行き、その行為を厳しく糾弾し、歌子に謝罪するように申し入れるのである。ナカナカ出来る事ではない。
その行為を知ったとらやの人達に寅さんは、酷く叱られるがそこにやって来た昭和の名優である宮口精二演じる父が口にした”君の自分の信ずる道を選んで真っ直ぐ進んでくれた事を嬉しく・・。”と言い、嗚咽する姿に、こちらまで涙が出てしまった。
<そして、歌子は父の家に戻り、寅さんと花火を見てから、伊豆大島の施設で働くことになるのである。
不器用で愛情表現が苦手な文筆家の父と、夫を亡くし傷心で暮らしていた娘を再び父娘の関係に戻し、歌子が自立した事を見届けて一人再び旅に出る寅さんは矢張りとても良い男であると改めて思った作品である。>
おなじみ我らの寅さんが奮闘する
腹抱えて笑ったなぁ 不動産屋に行ったはいいけど あれやこれやと難癖...
再登場 吉永小百合さん
山田洋次監督のプロフェッショナルさに改めて驚き尊敬するばかりです
吉永小百合は男はつらいよシリーズに2作出演しています
第9作の柴又慕情と本作です
やはり超がつく人気女優になるとまた出演して欲しいとのファンの声が大きくなるのは当然のことです
しかし山田洋次監督が吉永小百合をまた寅さんに出したのは、第9作が実はまだ本当には完結していないと感じていて、完結編を撮って決着させたかったのだと思います
本作の見所は何か?
それは吉永小百合でも、寅次郎でもなくて
吉永小百合の父親役の宮口精二が、とらやを訪れて、娘に口下手ながら娘の幸せを願う父の愛を語るシーンです
涙ながらに観ないではおられません
画面の中の登場人物が全員泣き、観客もまた泣いてしまう名シーンです
このシーンによって第9作を本当に完結させることが出来たのだと思います
本当はこのシーンを第9作でやっておかねばならなかったのです
そしてなにより腰を抜かすほど驚いたのは、そのシーンがあるのはちょうど1時間30分ドンピシャであることです!
たまたま偶然であるのかも知れませんが、そうではなく、台本、カット割、編集それらが緻密な計画と計算の上で組み立てられていたということだと思います
序盤とラストシーンの絹代さんは、歌子が嫁に行って未亡人となった姿を寅さんに年齢を合わせた女性として投影させた人物です
彼女によって私達観客は自然と歌子が今はどうしているだろうかと寅さんと同じ心境で歌子の登場を迎えることが出来る訳です
そしてラストシーンではその退場まで決着させているのだから恐れいります
絹代という名前はもちろん田中絹代から採られたものでしょう
高田敏江もそのイメージで演じていると思います
歌子の実家のロケ地がどこかわからず、気になって仕方ありませんでした
ネット情報によればどうやら東横線大倉山駅の東側で間違い無いようです
土地勘のあるところなのに盲点でした
では、なぜ神奈川県横浜市の大倉山駅辺りをロケ地にしたのでしょうか?
戦前なら小説家の家があるのは高台から駅に坂を下りていく所にあるものでした
イメージは田端の辺りです
田端文士村とか呼ばれたりしたとか
記念館が田端駅北口を出てすぐ近くにあります
そして田端の他にも有名な文士村がもう一つ
それが大田区にある馬込文士村です
大森駅、西馬込駅、池上駅の三角形の真ん中辺りです
でもどの駅も高台から下りていく駅のイメージが出せない駅の風情です
そして戦後の現代なら、小説家という人種は東急沿線に住んでいるイメージがあります
きっと、そのイメージが合致するロケ地を東急沿線縛りで探したのでしょう
けれど見つからず神奈川県までロケハンして大倉山駅を見つけたに違いありません
でも大倉山からは、多摩川の花火大会が見える訳はありません
1974年当時は多摩川大橋辺りで打ち上げしていたそうですから
ロケ地は大倉山でも、距離感や方向からみて、彼女の実家はやはり馬込文士村辺りにある設定のようです
そして歌子の父親の姿形、川端康成のイメージそのものでした
彼も若い頃1年だけですが馬込文士村に住んだことがあるそうです
昔の小説家はみんなあんなイメージなんですが、意識して寄せていると思います
見事なロケ地の設定でした
山田洋次監督のプロフェッショナルさに改めて驚き尊敬するばかりです
さて、吉永小百合
彼女は本作公開日のちょうど1年前の1973年8月3日友人宅で電撃結婚しています
お相手は15歳も年上の男性です
つまり寅さんと同年配なんです!
それを踏まえると、なんだか本作は彼女に大丈夫?なんて聞いているかのような気もします
第9作に彼女が出演して1年後に15歳も年上の男性と突然結婚したものだから、山田洋次監督も責任を感じてしまったのかもしれません
・夢のオヤジ(吉田義夫)が夢から出てきた(笑) そこだけで一作描け...
・夢のオヤジ(吉田義夫)が夢から出てきた(笑)
そこだけで一作描けそうな絹代騒動。さくらとタコ、温泉津へ。いいとこだったなぁ。
そんな騒動は軽く前座扱い。満を持して小百合様2度目の登場。薄幸な彼女が立ち直る姿を描く。
・なると巻きはいらないよ
・歌子、柴又登場。バタバタする寅。
・ハンバーグは食いたいか(笑)
歌子の父親が今回もいい味見せる。歌子との顔合わせのシーンは感涙必至。さぁ酒の支度だよ!
・寅ならずとも呟きたくなります「浴衣、綺麗だね」
小百合様はもはやマドンナなどという世俗の概念から超越した存在。触れてはならぬ眺めるもの。
そしていつものさくらとのしみじみとした別れ。
最後は今一度歌子のもとへと思った…そっちか〜い!
文句なしの一作でした。
寅屋を訪ねてきた宮口精二と吉永小百合との間に心が通う瞬間があって、多くの視聴者はそこで涙するかもしれない。今回は笑える映画ではなく、泣ける映画となっている。
BSテレビ東京で映画「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」を見た。
劇場公開日は1974年8月3日。
マドンナは吉永小百合。
男はつらいよ9作目「男はつらいよ 柴又慕情」
に続く2回目の出演となる。
映画撮影時は29才。
2020年現在は75才である。
「男はつらいよ」シリーズ第十三作目であるが、これまでの作品と違うと感じたのは、笑いの要素がほとんどなかったこと。
見ている間には1回も笑わなかったんじゃないかな。
夫と死別した吉永小百合が寅屋を訪ねて来る。
吉永小百合には父で小説家である宮口精二との間に親子の葛藤があった。
寅屋を訪ねてきた宮口精二と吉永小百合との間に心が通う瞬間があって、多くの視聴者はそこで涙するかもしれない。
今回は笑える映画ではなく、泣ける映画となっている。
上映時間は104分。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
全14件を表示