「遠くを、ふわっとみつめる虚ろな眼差し、その主は、」男はつらいよ 寅次郎恋やつれ ユッキー ウッキー(略して ユキウキ)さんの映画レビュー(感想・評価)
遠くを、ふわっとみつめる虚ろな眼差し、その主は、
その主は、歌子役の吉永小百合さんでした。
かなしいことがありました。
第9作では、可憐で明るい歌子を演じた女優が
今回の13作では、ちょっと刹那的な歌子の面を出していました。
明・幸に転ぶのか暗・凶に転ぶのかわからないような、不安がたち込めてくる雰囲気が最初はありました。
でも、寅さんやとらやのあたたかさによって
じんわりとじんわりと悲しみや不幸は溶けてきました。
「七人の侍」のうちの寡黙な達人(お父さん役)のポジティブな面もやっとあらわれてきました。
そして、だんだんと希望が持てる展開へと進んでゆきます、、、。
見て思ったエトセトラ、
●寅さんの口から、
広島、呉、三原、尾道、
とって返して、
下関、小倉、博多、唐津、、
日本を巡る旅人の歩む先々が、地名(街イメージ)となって次々に目の前にあらわれるかのようでした。
なんてことないあっと言う間の説明的なセリフですが、自分には寅さんの一言ひとこと(地名ひとつひとつ)が、あたまの中にじゅわっとなぜだか、ひろがっていました。
地名のセリフだけでイメージが膨らむ俳優って
なんかすごいかもぉ。
●恋やつれ、労働やつれ、だんごやつれ、
とらやつれ、にはわらっちゃいました。^_^
山田洋次さんセンスあるぅ〜
●「あたし、来ちゃった」
なんだか、あっちこっちで、よく聞くセリフですが。吉永小百合さんがコレを一言発すると、まるでスペシャルなスイーツのような甘美な響きがありました、あま〜〜〜い!
●ほんとにディテールですが、
さくら(倍賞千恵子さん)が寅さん部屋を去る時、カーテンをちょっとだけ揺らす演技・演出?がありました。
あんなささいな気付きができる方だからこその
さくら役なんだと、勝手に思ってます。^_^
いつか、かならず、さくらについては
しっかり書かないととは思ってマスです、はい。
(一部修正済 2025年7月31日)