お茶漬の味のレビュー・感想・評価
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夫婦はお茶漬の味
旦那役の佐分利信の優しい口調と表情。奥さんにどんなに理不尽な態度をとられても感情的にならずに穏やかに対応する旦那さんです。自分にとって迷惑だなぁと感じることさえも「君らしいじゃないか」と受け入れる。どんなにムカついても優しく対応し続ける。すると旦那に対してあれが嫌だこれが嫌だとさんざん我儘を言っていた奥さんも、だんだんと態度が変わってきて、しまいには「ごめんなさい」と泣いて謝る。
2人の間に厳しくルールを設け、それを相手が破ったら怒る、というのを繰り返すよりもこうやってじわじわと優しさでそのルールを超越していく、そうしていくうちにお互いの嫌なことをお互いが自然としなくなる。これこそが大人の関係だと思った。
「嫌だと思っていたことが何もかも好きになっちゃった」
お互いこんな風に思える時が来た時は最高だ。
ところで奥さん役の小暮実千代は自分の母親に風貌も勝気なとこも似ていてなんだか見ててモヤモヤした笑
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ
映画「お茶漬の味」(小津安二郎監督)から
今まで観た「小津作品」の中では、最高傑作、
メモをしながら、そう感じたことを、まずはご報告。
冒頭(修善寺の旅館)とラスト(自宅)にセットされている
女性同士の雑談シーンが印象的だった。
特に、夫が海外単身赴任しているのを羨ましがり、
「うちの旦那さまもどっか行っちゃわないかなぁ、遠いとこ」
と言う何気ない台詞が、最後になって「なるほど・・」となる。
今まで食べ方さえ気に入らなかった「お茶漬」を、
深夜に夫婦2人で食べて、はじめて夫の気持ちに気付くシーン。
翌日、夫が海外へ旅立ち、いつものように女性同士の会話。
しかし、もう夫を小馬鹿にしたような表現はなかった。
「でも男って複雑ね。女なんて家にいる旦那さましか知らないんだもの。
家にいる旦那さまなんて、甲羅干してる亀の子みたいなもんよ。
あれで外へ出りゃ、結構、兎と駆けっこしたり、浦島太郎乗せたりすんのよ。
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ」
家でのっそりしている様をみて、夫を亀に例えたうえ、その亀も、
よく考えれば「昔話」の中でも意外と頑張っていることに気付いた。
この妻の気付きは、夫婦にとってとても大切なことだと思う。
「男の人って、頼もしさっていうのかしら。それが一番大事なの」
この台詞って、なかなか言えないから輝くんだなぁ、きっと。
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