お茶漬の味のレビュー・感想・評価
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初めて小津安二郎を観ましたがこんなに面白いとは。
冒頭の東京や銀座の風景、女同士の会話で引き込まれた。女同士の会話はいまの女性から観ても上手いと思う。
あんなに大人しくて怒鳴らない、それでいて商社の部長で勉強熱心、目白に一軒家、女中2人、夢のような夫。
お茶漬けが食べたいと座って待っているのではなく、一緒に用意して、ごはんも自然によそってくれてたのには驚いた。当時こんなことする人いないでしょ!自然にそういう演出するのがすごい。
廊下や無人の部屋、鉄橋などのシーンが独特で、これは確かに海外の監督などに印象深いだろうなと思った。廊下イイよね!と仲間を見つけた気持ち。
それにしても機械部の部長はウルグアイに何しに行くのだろう?社長も部長も暇そうで羨ましい。
パチンコ、野球観戦、飛行機の見送り、ラーメンなどの風俗描写も楽しい。
戦友や戦争で死んだ兄などさりげなく盛り込まれる戦争の記憶がかえって生々しく感じた。
夫婦はお茶漬の味
旦那役の佐分利信の優しい口調と表情。奥さんにどんなに理不尽な態度をとられても感情的にならずに穏やかに対応する旦那さんです。自分にとって迷惑だなぁと感じることさえも「君らしいじゃないか」と受け入れる。どんなにムカついても優しく対応し続ける。すると旦那に対してあれが嫌だこれが嫌だとさんざん我儘を言っていた奥さんも、だんだんと態度が変わってきて、しまいには「ごめんなさい」と泣いて謝る。
2人の間に厳しくルールを設け、それを相手が破ったら怒る、というのを繰り返すよりもこうやってじわじわと優しさでそのルールを超越していく、そうしていくうちにお互いの嫌なことをお互いが自然としなくなる。これこそが大人の関係だと思った。
「嫌だと思っていたことが何もかも好きになっちゃった」
お互いこんな風に思える時が来た時は最高だ。
ところで奥さん役の小暮実千代は自分の母親に風貌も勝気なとこも似ていてなんだか見ててモヤモヤした笑
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ
映画「お茶漬の味」(小津安二郎監督)から
今まで観た「小津作品」の中では、最高傑作、
メモをしながら、そう感じたことを、まずはご報告。
冒頭(修善寺の旅館)とラスト(自宅)にセットされている
女性同士の雑談シーンが印象的だった。
特に、夫が海外単身赴任しているのを羨ましがり、
「うちの旦那さまもどっか行っちゃわないかなぁ、遠いとこ」
と言う何気ない台詞が、最後になって「なるほど・・」となる。
今まで食べ方さえ気に入らなかった「お茶漬」を、
深夜に夫婦2人で食べて、はじめて夫の気持ちに気付くシーン。
翌日、夫が海外へ旅立ち、いつものように女性同士の会話。
しかし、もう夫を小馬鹿にしたような表現はなかった。
「でも男って複雑ね。女なんて家にいる旦那さましか知らないんだもの。
家にいる旦那さまなんて、甲羅干してる亀の子みたいなもんよ。
あれで外へ出りゃ、結構、兎と駆けっこしたり、浦島太郎乗せたりすんのよ。
大概の女は、旦那さまのほんの一部しかみていないのよ」
家でのっそりしている様をみて、夫を亀に例えたうえ、その亀も、
よく考えれば「昔話」の中でも意外と頑張っていることに気付いた。
この妻の気付きは、夫婦にとってとても大切なことだと思う。
「男の人って、頼もしさっていうのかしら。それが一番大事なの」
この台詞って、なかなか言えないから輝くんだなぁ、きっと。
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